第3話 神の印



「コウタくん」


「はい!」


「君は神の印が刻まれることの意味わかってるかな」


「わかりません!」


 何なら自分の名前すらもわかってなかったし、帰るところもない。言葉が通じてるから何も考えて無かったけど……。


「やっぱり」


 難しい顔をしながら、紙の筒を持ち出したセナさん。開くとそれは何処かの地図みたいだった。大きな紙の端から端までを使って1つの島が描かれている。


「えっと、なんですかこの地図」


「この大陸の地図よ。私達がいるのはこの右下のところ」


「ほぇー」


 地図の右下の更に下に書かれている文字を目で追った。カミノシマと金文字で綴られている。


「ユシヤ村は不安定な場所だから地図に明記はされてないんだけどこの山を中心に時計回りに移動しているの。で、神の印とは」


 この大陸全体に昔から語り継がれてきた伝説。いや、あまりに身近すぎてもはや伝説とすら呼ばれない事実。神の印を刻まれたモノは魔法を使うことが出来る。


「ってことはおれも魔法が使えるのか」


「まぁそうなるわね」


「じゃあセナさんも神の印が?」


 私の場合はコレだよ、特注品。とグローブを外したセナさん。ただの革製のグローブのように見えるが手首の裏側のところに水面に水滴が落ちるような見た目の模様が刻まれている。


「ライムのは首のチョーカー」


「モノにも刻めるんすね」


「私は神じゃないからどんな原理なのかは知らないけど、力が強い神ほど印を多く刻めるらしいわ」


 神の印コレクターなんてものもいるくらいなのよ。と、複雑そうな顔をするセナさん。確かに、身に付けているモノを狙われたらと考えるとその厄介さがわかる。

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