第314話・エピローグ2
「……では我々は今後、正式に特別第六課所属となる。
だが強制や命令は受けず、独立組織のような体制として、だ。
また我々の捜査は違法と見ればどこでも遠慮なく探る。
例えそれが公務や司法機関、上級国民だとしても
空気を読む・
細面の青年―――
「認めよう」
「受け入れる」
「異存は無い」
警視庁本部、そこの一室で……
非公式にだが、ある組織編制の許可が下りた。
元人間の
雲外鏡率いる
そして妖が人の姿となった、一つ目小僧・
彼らは日本の司法と協力関係となり、極秘に『事情を知る』者たちとの会合を
定期的に持つ事になったのである。
着席しているメンバーとは対照的に彼らは立っていたが、
「
「どうもしないわよ」
「何かあれば協力する……まあいつも通りじゃないの?」
いかつい顔をしたアラフィフの男性、恐らくキャリアクラスの質問に
眼鏡をかけた秘書風の女性と、ショートカットのボーイッシュな同性が
事もなげに答える。
「表に出ない存在か。まあ頑張ってくれたまえ」
警視の肩書を持つ30代くらいの男性が皮肉交じりに話すと、
「まあ目立ちたくないんでねぇ」
「そんなの今さらですよ」
ボサボサの短髪の男性、また彼と同じくらいの20才ほどの
気弱そうな青年がそれを流す。
「しかし、事前連絡くらいはして欲しいものだ。
何か『間違い』があってもそちらは非公式だからね」
今度は、恐らく一番トップと思われる男性から脅しとも取れる
言葉が発されるも、
「ご心配なく……」
「人間にやられる妖なんていないにゃ~ん」
「その気遣いは無用にござんす」
片目を髪で隠した12・3才くらいの少年に、姫カットの二十歳前後の女性、
そして時代劇にでも出て来そうなザンバラ髪の和装の男が返す。
表向きは協調を、しかし内心は面白く思っていない面々との顔合わせは、
火花を散らすような状況で終わろとしていた。
「それでは俺たちはこれで……あ、そうそう」
いったん扉に向かおうとした雲外鏡は足を止めて振り返り、
「これは、本日ご出席くださった方々へのお土産です。
どうぞお受け取りを」
そう言って彼は複数のUSB端末を取り出す。
「何だそれは?」
「何のデータだ?」
席に座っている面々は首を傾げるが、
「何、ここにいるあなた方を調べ上げたデータだよ。
まあ中には法に抵触している方もいらっしゃったようだが、
初顔合わせという事で今回ばかりは見逃してやります。
今後は十分にお気を付けを」
それは倉ぼっこの理奈に頼んで入手したデータであり、
突然突き付けられた現物に、彼らは顔色を失う。
ただ第六課設立当初から関わっているであろう第一課の刑事だけは、
それを苦笑で受け入れた。
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