第286話・調査02
「え……あ……? こ、ここは……」
3人が次に目覚めた時には、どこか古びた日本家屋の広間に寝かされていて、
「あっ! ミツー、目が覚めたようだよー!」
女性の声が聞こえ、そちらに目をやると―――
黒髪ロングの少女がパタパタという足音と共に、遠くへ引っ込む姿が見え、
「気が付きましたか。
あなたたちが倒れているのを、近くの人が見つけたんです。
多分、熱射病か暑さでやられたんでしょうが」
30代半ばの人が良さそうな中年男性が出て来て、彼らを気遣う。
同時に、他の2人も目が覚めたようで、
「うぅ……こ、ここは?」
「俺たち、いったい……」
すると眼鏡をかけた秘書風の女性が、さっきの童顔の女性と共に来て、
「まずはお飲み物を。水分補給してください」
「す、すいません」
そして3人は冷たい麦茶を受け取ると、ようやく人心地ついた。
「はぁ……道に迷った、ですか。
しかしいくら一本道とはいえ、ここまで歩きで来るのは―――」
「特に今日は暑いですしね。
レンタカーとか借りれば良かったのに」
「いくら体力に自信があると言っても、無茶はダメだよー」
家の主である自分と裕子さん、倉ぼっこに言われて彼らはシュンとなる。
まあ実は、彼らを迷わせたのは
30分ほど前、野狐たちからすでに連絡を受けていた俺たちは
今後の対応を協議し、
また彼らの話しぶりからするに、嫌々こちらを調べる事を断れずに
引き受けたようなので、
彼らを野狐たちの力で前後不明にした後、意識
我が家に運び込み、
介抱と称して彼らと接触する事にしたのである。
目的は2つ。
1つは、下手に敵対したり
多分、倉ぼっこが人外である事くらいは気付いているだろうし、
ここでどういう生活をしているかわかれば、彼らの調査任務も達成されるだろう。
もう1つは―――情に訴えかける事。
なので鬼の
顔を見せるように連絡し、
また一つ目小僧の
旅館『
そこで『歓待』するよう、話を通しておいた。
「す、すいませんでした。
じゃあ俺たちはこれで―――」
そう彼らが立とうとするが、
「いや、もし熱射病とかだったらまた倒れたらマズいですよ!
何なら救急車を呼びますけど」
「べ、別にそこまでしなくても……
多分、しばらく休んでいれば回復すると思いますから」
それでも外へ出ようとする彼らに、裕子と理奈が、
「あの~……
この辺り、人家ってありませんよ?
駅まで戻るつもりですか?」
「休むのならエアコンが効いているココの方がいいと思うけど」
という追撃に彼らは顔を見合わせ、
「じゃあ、すいません」
「お言葉に甘えて―――」
そして彼らは、ここで休んでいく事になった。
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