第287話・調査03


「いや根性あるのうお主ら。

 駅からここまで歩いて来るとは―――」


赤い肌をしたナイスバディの鬼娘、舞桜まおさんが琉絆空るきあさんの隣りで

飲みながら語る。


「ですが若さを過信するのは禁物ですよ。


 しかし運が良かったですね、この辺りで見つけてもらえるなんて」


彼氏も彼女に同調しながら語る。


「そんなに人通り……無いですよね」


若者の1人が申し訳なさそうに同意する。


「ここらじゃ、オラが働いている旅館が一番近いべか。

 でもそこだって、週に2・3回お弁当持ってきてくれるだけだから」


推古すいこさんが帰りに一度に持って来てくれるようになって、

 その回数も減っていますしね。


 下手したら第一発見者って事に―――」


褐色肌の青年・川童かわこの銀の後に、彼女であるポニーテールの

加奈さんが続き、それを聞いて彼らは顔色を青くする。


「あまり若い人を脅かさないで。

 せっかく助かったんですし、こうして一緒に食事をしているのも

 何かの縁ですから」


俺が彼らにフォローを入れると、『お客さん』たちはホッとした表情になる。


今回、詩音は書き入れ時とやらでメイド喫茶を離れられず、自動的にあの

女子高生3人組も東京滞在となった。


そして彼女(男だけど)以外、カップル組は全員帰省するタイミングと

なったのである。


「(でも野狐やこさんたちの話だと、この人たちもかなりの力を

 持っているって言ってたけど)」


「(そこは主様に鍛えられているからね。

 しーちゃんほどじゃないけど、この人たちクラスならまあ、気絶させるのに

 苦労はしなかったって)」


裕子さんと理奈の会話の通り、彼らの意識を失わせたのは野狐たちだ。


まあただの調査目的だったみたいだし、戦闘能力の高い人間を選ぶ必要は

無かったんだろうけど。


「そういえば旅館があるんですね」


「これ以上甘えるわけにもいかないので、出来ればそちらで

 今日は泊まろうかと」


彼らの方から話を振って来て、好都合だと思った俺は、


「じゃあこちらから連絡を入れますか?

 多分、断られる事は無いと思いますが」


「お願いします」


「さすがに今日は疲れたので……」


そして彼らがくつろぐ中、人外組と一緒に普段の生活について彼らに

情報提供し始めた。

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