第279話・妖への道04


「とは言えなあ―――


 問題はどうやってアイツを見つけるか、だな。

 東京にいるんだろうが、その情報だけじゃ何とも」


「まだあの生ゴミ……もといクズの電話番号ってあるんですか?」


裕子さんの言い直しになっていない質問に俺はスマホを手に取り、


「番号自体はある。アイツが変えていなけりゃ、だが」


「つまり連絡は取れる、という事だべか」


「あの人チョロそうだし、何とかいい感じに呼び出せないかな」


銀と加奈さんが一緒になって考え込む。


「まあ確かに……

 例えば俺が、『今までの事は悪かった、謝りたい』とか、

 『おびとして金を渡したいから来てくれ』

 と言えば喜んで来るだろうし」


「んっ?」


「身内の方なんですか?」


「……結構な方らしいですけど……」


そこで卯月うづきさん・速瀬はやせさん・もみじさんの

女子高生3人組からツッコミが入り、


「まあ話しておいた方がいいか」


そこで俺は、自分の兄である亮一りょういちについて彼女たちに説明する事にした。




「は~……」


「何なんですかその人?

 ホントに同じ星に住む人間なんですか?」


「……がたし……」


少しあの男の所業を話しただけなのだが、それだけで少女たちの顔が曇る。


「まあだからこそ、煮るなり焼くなり好きにしていいわけじゃ」


あやかしなら狩れるんだけどな。何で人間に生まれたんだか」


舞桜さんと琉絆空るきあさんが同調してうなずく。


「一度は野狐ウチらで、ミツ様に黙って葬ろうかと思っていたくらいですから」


「舞桜さんと俺が止めたけどな。

 あんなアホ、手を汚す価値も無いと思うし。


 それにようやく利用価値が出て来たんだ。

 今回ばかりは役に立ってもらわないと」


詩音の後に、俺が事の顛末てんまつを話す。


そこで今まで黙っていた理奈が顔を上げて、


「ん? そう言えばミツ、アレの電話番号はあるんだよね?」


「ああ、そうだけど」


「ちょっと貸してー」


と、理奈はそのまま引っ手繰ひったくるように俺のスマホを手に取ると、


「番号どれ?」


「これだが」


すると倉ぼっこは何やら画面をタップして操作し始め、


「……GPSアプリがこれでー、えーっと……

 別のヤツにひもづけしてー、ウンそうそう。

 位置情報をリアルタイムで発信してもらっていい?


 あと個人情報もこっち寄越してー。

 どんなものでもいいから」


それを遠巻きに見ていた他のメンバーは、


「相変わらず恐ろしい能力ですわね」


倉ぼっこだいまおうからは逃げられないっぺよ」


「つくづく、敵じゃなくて良かったと思いますわ」


裕子さん、銀、詩音がそれぞれ感想を口にし―――


5分ほどでヤツの情報はほぼ丸裸にされ、それを元に計画が

立案される事となった。


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