第277話・妖への道02


あやかしになる方法?」


翌日の昼、雲外鏡うんがいきょうさん率いるメンバーは、

東京に戻る事になったが、


その前にこちらに挨拶にやって来たので、それとなく聞いてみる事に。

すると―――


「あまりオススメは出来ないですわよ。

 それこそ、裏切りとか絶望するとか強烈な出来事が無いと」


「私たちがそういう『商売ビジネス』を始めたきっかけでもありますし」


眼鏡をかけた秘書風の飛縁魔ひのえんまさんと、

ボーイッシュなショートカットの雪女さん、2人の女性が語る。


「しかし安武やすべさん、何でそんな事を?」


「『』となる事に興味があるんですか?」


ボサボサの短髪の男性と、同じ年齢ほどの気弱そうな青年、

烏天狗からすてんぐさんに煙羅煙羅えんらえんらさんが聞き返してくる。


「いやまあ、俺ではなく」


そこで俺が彼らに事情を説明すると、


「ああ……そういう事か。

 俺たちはすでに全員妖怪と化しているから失念していたが」


細面の20代そこそこに見える男性、雲外鏡さんがうなずきながら話す。


「今こちらは人間と妖怪のカップルが多いので―――」


「そーいえばさ、妖怪になれるお薬ってもう作ってないの?」


裕子さんと理奈も会話に参加するが、


「効果が今イチだったのだ、アレは。

 警察に目を付けられた原因でもあるし。


 せめてもう少し実験が出来ればな」


「とはいえ、実験動物……もとい検証しても良心が痛まない人間を

 選定してやってましたからね」


「あーいうつぶよりのクズを見つけるのって結構面倒なんですよ」


雲外鏡さんの後に、飛縁魔さんと雪女さんが続く。


しかし粒よりのクズ、か……

該当する1名がすぐに頭に浮かび、


「何人も必要ですか?」


「ん? まあいればいるほどいいが―――

 最悪1人でもどうにかなる。


 問題は最終段階の確認がまだ出来ていないという事だから、

 最後まで実験出来る人間さえいれば」


そこで俺は裕子と理奈と視線を合わせると、理解したというふうに

2人はうなずく。


「それはそれとして、他の人たちは?」


「3人だけなんですか?」


烏天狗さんと煙羅煙羅さんが周囲を見渡すが、見送りに出たこちらの

メンバーは俺と裕子さん、理奈の3名しかおらず、


「私たち以外はその、ちょっとダウンしているかと……」


「人外相手だと女性は特にね、アハハ……

 ぬし様は女性だけど鬼だし」


それを聞いた向こうの5人は微妙な笑顔となり、


「いやまあ、ごちそうさまとでも言えばいいのか?


 それと、もし実験対象に心当たりがあるのならお願いしたい」


そう雲外鏡さんが言うと、他のメンバーは次々と車に乗り込み―――

敷地内から発進していった。


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