第268話・あやかし(人間ベース)の現状01
とある東京のマンションの一室―――そこに5人の人外が集まっていた。
「というわけだから、予定を空けておいてくれ」
まだ20代の細面の青年が、他の4人を前に口を開く。
「わかりました、
「それにしても、私たちが警察の捜査協力とは」
眼鏡をかけた秘書風の女性……
短髪のボーイッシュな女性、雪女がぼやくように語る。
「まあ、そうは言ってもな」
「事実上、下部組織になったようなもの。
対等に接してくれるだけまだいいよ」
ボサボサの短髪をした20代くらいの青年、
同じくらいの年齢の気弱そうな青年、
警察と
目を付けられている事を知り、
雲外鏡率いる人間ベースの
警察という国家権力の共同体制のようなものが出来上がっていた。
「いいんじゃないかしら?
警察のお墨付きで、外道どもの捜査が出来ると考えたら」
「外道から巻き上げる収入がその分減ったのは、痛しかゆしだけど」
依頼人の恨みをお金で晴らす……
その際、対象にも法外なお金を出させていたのだが、警察が絡んでいる今は
そっちは控えていた。
その代わり、過去の犯罪が明らかになり次第、即座に警察に情報提供、
逮捕か事情聴取で周囲に悪行がバラされる、という流れになってはいたが。
「しっかしまあ―――
その会合というか宴会には、あいつらも出るんでしょう?」
「『一つ目小僧』に『
あの
うらやましいったら」
烏天狗と煙羅煙羅が、思い出しながらうなるようにつぶやく。
「それより雲外鏡様」
「何だ?」
飛縁魔の問いに彼が聞き返すと、続けて雪女が、
「猫又の
『アタシ愛人になるんだけど、正妻はどっちかにゃ?』
って質問が」
「正妻も何も、俺はまだ独身だが」
眉間にシワを寄せて雲外鏡は答える。
「いや! そろそろ決めて頂きませんと……!」
「妖だし重婚も大丈夫なはず!」
「だから何の話だ!?」
突然始まった恋愛絡みのトラブルに、烏天狗と煙羅煙羅は、
「おー、やれやれー」
「僕たちはそれを酒のツマミにするから」
「いや助けてくれないか!?」
そんな状況になりながらも、情報共有は続けられた。
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