第263話・報告を受けて


「そんな事があったのか。

 何かヤのつく自由業の人に縁があるなあ」


翌週の火曜日、東北の実家に戻って来た俺と銀は―――

『一つ目小僧』・『猫又ねこまた』・『唐傘からかさお化け』の3人から、

スマホ越しに近況報告を受けていた。


野狐やこさんたちにも協力をお願いしやしてね。

 あれだけやればやっこさんたち、二度と旅館には近付かないでしょう』


「それで、働き具合というか旅館の人たちとはどうだべ?」


こちらで、褐色肌のジャニーズ系の顔立ちの青年が話題を変えると、


『とてもいい人たちだと思います』

『それにかなりご高齢の方が多いから、若いってだけで特別扱いして

 もらえるにゃ~ん♪』


時雨しぐれさんの後に、人見ひとみ君と麻夜マヤさんが

報告してくる。

実年齢はともかく、3人とも見た目は若いからなあ。


「『雲外鏡うんがいきょう』さんへは報告しましたか?」


『一応しておきやした。

 あまり危ない真似はするな、と釘をさされやしたが……』


『それと、僕や他の2人の姿を見て―――

 『飛縁魔ひのえんま』さんや『雪女』さんたちが驚いていました』


『『烏天狗からすてんぐ』さんや『煙羅煙羅えんらえんら』さんも似たような

 反応だったにゃ~ん』


元人間組は、彼らの元の姿を知っているだろうからなあ。

そりゃ驚きもするか。


「まあ問題が無ければそれに越した事は無いよ。

 それじゃ……」


俺は通話を終え、昼食の準備に取り掛かろうとすると、


「それじゃあ、昼食べたらオラも『源一げんいち』に向かうべ」


「そうなのか?

 別に帰って来たばかりだし、明日からでも」


「一応、オラのメインの職場はあそこだべなあ。

 それに何かあった時のためにいた方がいいべ」


確かに、まだ日の浅い知り合い3人を旅館に預けて放置しているような

ものだしなあ。

少しでも接していた方が何かといいか。


「んじゃ、ちょっと行ってくる?」


「?? どこへ行くんだ、銀」


「昼食が出来るまでまだ時間はあるべ。

 土産に魚を何匹か獲って来るだ」


そして銀は川へと向かい―――

俺は台所へと向かった。


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