第258話・移住者2号3号・03
「じゃあ、今週は俺たちが東京に向かうから……
『
俺と銀が車に乗り込み、『彼ら』に声をかける。
ここは俺の東北の実家ではなく、それと同じくらい広い家。
そして、新たにやって来た移住者たちの
「はい!」
「行ってらっしゃいにゃ~」
「お土産頼みますぜ」
『一つ目小僧』の少年、
『
そして『
俺はそのまま車の運転をし、サイドミラーで彼らの姿が小さくなって
行くのを確認すると、
「そういや、結局旅館で住み込みとはならなかったのか?」
助手席の銀に質問すると、
「せっかく家も買っちまったべなあ。
聞くところ、半々で旅館に寝泊まりしているって話だべ」
まあ確かに。何のために買ったんだって話にもなるだろうし。
「うまくやれているならいいけど」
「人見君と時雨さん、結構人気があるだべよ。
さっそくお世話役に指名する女性客が多いと聞くべ。
麻夜さんも年配の男性客に人気で、よく会話を合わせられるって
女将さんが驚いていただ」
銀はいきなり恋人がいる宣言しちゃったからなあ。
そこへフリーでかつ顔もいい男が来たら、そりゃあ……
麻夜さんも猫又だし、年齢は聞いてないけど人間からしたら多分、
結構なお年だろう。
そりゃ話も合わせられるか。
「しかしこうなると―――
『預かって欲しい』という話が、もうほとんど手がかからない
状態になっているし。
それでいて結構な大金が振り込まれているんだよな……
何かちょっともらい過ぎというか」
「別にもらってもいいんでないべか?
だいたい、住む場所も働く場所も身分証も、こっちで準備してやった
ようなものだべ。
どうしてもと言うのなら、身分証を用意してくれた
いくらか渡したら」
「当然、それはもうやったんだけどさ。
すでに
まあ、彼らに何かあった時のために取っておくか」
そんなやり取りを銀としながら、俺は駅まで車を走らせた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます