第257話・移住者2号3号・02
「は、初めまして!」
「こっちでしばらくお世話になりま~す!」
「
よろしくお願いしやす」
老舗旅館『
片目を髪で隠した12・3才くらいの少年と、
姫カットの10代後半の女性、
そしてボサボサ髪の二十代前後と思われる青年が、旅館の人たちの前で
そろって頭を下げる。
彼ら3人が来てから数日後、
マイナンバーカードなどを取得してもらった後―――
まずは顔合わせ・あいさつ回りに旅館へ来ていたのだ。
「どうも、彼らが以前話していた人たちで」
「こっちに来たばかりでまだ職も決まってないだべ。
だからコキ使っても構わないっぺよ」
俺と褐色肌の青年……
すると女将さんがまず
「えーと、男の子だよね?
お名前は?」
「あ、す、
その言葉に旅館側の人たちは顔を見合わせる。
「推古って、銀ちゃんと同じ名前?」
「ああ、オラの
あと生まれつき片目が不自由なんで、都会の学校でちょっとなぁ」
それを聞いた旅館の女性陣が同情した声で、
「えぇ……こんなに綺麗な子を」
「信じられないわぁ、都会モンは心が冷たいわねぇ」
そこで俺がコホンと一息入れて、
「それでこちらの女性が
男性の方が
まあ遠い近いはありますが、みんな俺の親戚筋なので」
俺がそう紹介すると、
「若い人たちは大歓迎だよ」
「出来れば銀ちゃんと同じようにウチで働いてもらいたいけど―――
人見君、学校は?」
その質問に俺は片手を挙げ、
「リモート学習をしているので、どこでも大丈夫です。
ここでの暮らしに慣れて来たら、どこか改めて通わせようと
思っていますが……」
と説明すると、様々な年齢層の女性陣が彼を抱きしめるように囲んで、
「えぇ~、それならウチでいいよー」
「どうせ山ちゃんの家から通うって話なんでしょう?
それならアタシが車出してあげるから!」
(※山ちゃん=引退した猟師さん。『一つ目小僧』たちが来るので、
その土地と家、山小屋を購入した)
「そーそー! それで通えばいいよ」
「いっそこっちで寝泊まりする? 部屋だけは多いからね。
銀ちゃんに勧めようと思ったんだけど、彼女がいるって話だったから
流れちゃったのよねー」
田舎の、良く言えば世話好き……悪く言えばプライバシーゼロの
攻勢に俺はちょっとたじろぐが、
「おー、人見君大人気ー♪」
「そういや、あっしも麻夜も独り身でございやすが」
時雨さんの言葉に、今度は女性陣だけではなく男性陣も沸き立ち―――
しばらく好みやタイプの質問で盛り上がった。
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