第254話・雲外鏡視点05


「…………」


翌朝、自室で目を覚ました俺は―――

別室で寝ている彼らを起こしに行った。


『一つ目小僧』の時は、隣りで寝ていたのだが、目覚めた時はすでに

少年の姿となっており、


「さて、あいつらはどうなっているか……」


一応、『猫又ねこまた』は女性なので個室へ、『唐傘からかさお化け』は

リビングのソファで寝てもらったのだが、


まずは『猫又』の方から起こしに行くと、


「入るぞ、『麻夜マヤ』」


「うみゅ~う?」


扉を開けるとそこには、いわゆる姫カットの二十歳前後の女性が、

ほとんど下着姿で寝ていて、


「……『猫又』、か?」


「そーですけどぉ? あれ……んにゃ?

 おおおっ、こ、これは、この姿は!?

 どうですか『雲外鏡うんがいきょう』!!」


彼女はおもむろに起き上がりそのボディを見せつけるように、

両腕を左右に広げるが、


「いや、いい!

 とにかく着替えろ! それから朝食だ」


俺は慌てて扉を閉めると、今度はそのままリビングへと向かう。


「『時雨しぐれ』、具合はどうだ?」


と、ソファを見ると―――

そこには時代劇に出てきそうな、和装の侠客きょうかくのような二十代の

ボサボサした頭の男がいて、


「『雲外鏡』様、ですかい?

 おはようございます……ん?


 なな、何ですかいこりゃあ!?」


さすがに傘から人間の姿になった衝撃は大きかったのか、

『唐傘お化け』は自分の両手をまじまじと見つめる。


「だから覚醒したんだろ。

 人間の姿になりたかったんじゃないのか?」


「いや、実際なってみると驚きって言いますか―――

 あ、『猫又』……『麻夜』はどうなりやしたか?」


「ちゃんと人間の女性の姿になった。

 今、着替えているところだろう。


 お前はそのままでいいな。

 朝飯にするから、テーブルに座っていろ」


俺は彼に指示を出すと、朝食の準備をするため台所へ向かった。


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