第251話・移住者1号05


『ウッソでしょー!!

 超美形・美少年になってんじゃんアンタ!!』


『まだ『雲外鏡うんがいきょう』様の隠し子って言った方が説得力あるぞ!』


通話画面で『猫又ねこまた』と『唐傘からかさお化け』が、少年の姿になった

『一つ目小僧』を見て興奮しながら話す。


「どんな説得力だよ。それに俺はまだ独身だ。


 それで覚醒の事なんだが、俺が名付けたらこうなったらしい」


それを聞いたあやかし2名はさらにヒートアップし、


『ハイハイハイ! ハーイ!! じゃあアタシもアタシもー!!』


『そうだなー、西洋風でかつ傘にちなんだ名前がいいぞ。

 カサブランカとか』


「それはアフリカの地名だ、『唐傘お化け』……」


疲れた声で『雲外鏡』さんが対応する。

何ていうか、『一つ目小僧』とは違ってこっちの2人は問題児という

匂いがする。


「おお、お2人が『猫又』と『唐傘お化け』だっぺか?

 初めまして、川童かわこの銀だべ」


『え!? 誰々!? このブラックなカッコイイ系おにーさんは!?』


褐色肌・ジャニーズ系の銀に『猫又』さんが食いつく。


『この人が河童とはたまげたぜ。

 この分だとあっしも期待出来そうですなぁ』


『唐傘お化け』の発言に、そうかなあ? と思っても口には出さず。


「それで覚醒の事なんだがな。


 ここにいる安武やすべさんの話では―――

 彼が名付けた妖は子供の姿から大人、成長した姿になったらしい。


 だが俺は元人間であり、今は妖だ。

 だから『一つ目小僧』……人見ひとみは、覚醒して人間の姿になったものの、

 少年のままだと考えられる。


 だから名前を付けるのは俺では無く、安武さんか

 別の人間に頼めば」


『雲外鏡』さんが諸事情を2人に説明すると、


『あー、そういう事?

 でもアタシは『雲外鏡』様に頼みたいなー』


『あっしも同じです。

 『雲外鏡』様のする事に間違いは無かったからな』


「考えるのが面倒くさいだけだろ、お前ら」


そんなやり取りを聞いて、仲はいいんだなと認識する。


「わかった。

 とにかくお前たちの名前は考えておこう。


 それと―――安武さん。人見をしばらく預かってもらえないか。

 もちろん、生活費は出させて頂くから」


こうして、改めて『猫又』と『唐傘お化け』の名前は『雲外鏡』さんが

付ける事になり……

『一つ目小僧』こと人見君はこっちの家で面倒を見る事になった。


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