第247話・移住者1号01
「この子が、ですか?」
いつも通り月曜日に東京の会社へ行き、そして火曜日の夕方くらいに戻り―――
水曜日の朝、訪問者を迎えた俺は戸惑っていた。
細面の青年、『
顔をグルグルと包帯で巻いた少年。
俺の質問に彼はコクリとうなずき、
「もう取っていいぞ、『一つ目小僧』」
『雲外鏡』さんの指示で彼は包帯を解いていく。
するとその下からは、鼻の上にギョロリとした大きな一つ目の
子供の顔が出てきた。
「なるほど……確かに『一つ目小僧』だ」
「思ったより驚かないのですね?」
その妖は首を傾げるように俺を見つめ返してくるが、
「まあ子供の頃から倉ぼっこや
それは今さらだな。
それで、この子の名前は何ていうんですか?」
「ん? 名前?
だから『一つ目小僧』だが―――」
『雲外鏡』さんは俺が言った意味そのままで、妖怪としての名前を
返して来る。
「いや、だから『一つ目小僧』君の名前です。
倉ぼっこ、川童、野狐もそれぞれ名前で呼んでいましたし……
苗字は戸籍を作る時に付けただけですが」
「ううむ、そういうのは無かったな」
少し困った顔をして彼は答える。
「じゃあ、『雲外鏡』さんがつけてあげればどうでしょうか?
俺のところに住んでいた3人は、俺が付けてあげたので―――
その時に彼らは
上がったとか何とかで」
「覚醒……とは?」
「
そして外見も、子供から大人に変化して」
俺の説明に彼は困ったり悩んだりと忙しく表情を変えていたが、
「やってみて損は無さそうだ。
俺が決めてもいいか? 『一つ目小僧』」
「はい。『雲外鏡』様―――」
少年は従順に答える。仲間というよりは部下という感じか。
「じゃあ、一つ目だからそれを元に……
人を見る―――
「ありがとうございます!!
……ってアレ? 何も起こりませんが……」
困惑する『人見』君に俺は首を左右に振り、
「すぐにどうこうはならないと思う。
あの3人の時は、一晩経ってからだったけど」
そう言うと『雲外鏡』さんは少し考え、
「ふむ。ではそれを見届けなければなるまい。
一泊させて頂きたいが、構わないだろうか?」
「ええ、構いませんよ。
夕方になれば川童の銀も帰ってくると思いますし。
あ、『人見』君。
何か食べたいものとか食べられないものとかある?」
「えっ? い、いえ頂けるのであれば何でも―――」
こうして俺の家に、『雲外鏡』さんと『人見』君が泊まる事になった。
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