第246話・依頼07・雲外鏡視点03


「そこでまずは、誰か1人先行してそちらへ行って欲しい」


俺は『一つ目小僧』・『猫又ねこまた』・『唐傘からかさお化け』に―――

東北に誰か先行して欲しい事を告げる。


「ですが、誰か1人と言われましても」


『一つ目小僧』は深刻そうに考え始め、


「ジャンケンして決めるー?」


「足でチョキは難しいぞ」


『猫又』と『唐傘お化け』はのん気に勝負方法を提案する。


「いや、実はもう人選は決めてあるんだ。


 そこは結構好意的にあやかしを受け入れてくれるようだが、

 たいていは人の姿に近いか、獣ベースだからと思われる。


 となるといきなり『唐傘お化け』のような妖怪は厳しい」


「まあ完全に異形の姿ですしね……」


「ハイハーイ!

 じゃあアタシで決まりかニャ?」


『一つ目小僧』の後に『猫又』が元気良く手を挙げるが、


「いや、お前なら確かに比較的受け入れやすいと思うが―――

 それでもダメだ。


 俺はそこを、妖たちの避難場所に出来ないかと考えている。

 だから受け入れてくれる許容レベルを『テスト』したい。


 いきなり『唐傘お化け』は厳しいと思うが、『猫又』のお前はすでに

 野狐やこも受け入れているという話だから、参考にはならないと思う」


実際は厄介払いなのだが、そこはおくびにも出さず俺は残った妖に目を向けて、


「そこでこの任務は……『一つ目小僧』、お前に頼みたい。


 お前の扱い次第で、今後『猫又』や『唐傘お化け』を送るかどうか

 決めようと思う。


 現地には俺と一緒に向かう。どうだ、行ってくれるか?」


そこで彼は俺に一礼して、


「わかりました、『雲外鏡うんがいきょう』様」


彼は深々と頭を下げるが、


「あ、じゃあお土産よろしくニャ」


「それなら俺たちはお留守番って事で」


対照的な『猫又』・『唐傘お化け』の返事に、俺はため息をついた。


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