第243話・依頼04・雲外鏡視点01
「あー、なるほど。そういう事か……
確かにそれについては説明が足りなかった」
都内にあるマンションの一室で、細面の青年がスマホで対応していた。
『実際まあ、俺も祖父から家を受け継いだクチでして。
住む事自体にそんなに金はかからないと思うけど』
相手先はつい先日相手にした、
俺は元人間の『
他の人間ベースの
依頼に応じて裁きながら、裏の経済を牛耳って影響力を持つ事を
目的として活動して来たのだが、
警察に目を付けられ、さらに妖を狩る弥月一族に乗り込まれた事で、
少々方針変更を余儀なくされていた。
取り敢えず、付き合いのあった低級妖怪をスケープゴートにするプランは
却下し、
俺たちのこれまでの情報を封じる意味でも、都会に馴染めないという事にして、
連中を田舎に送ろうと思い安武さんに協力を求めたのだが、
予算について伝えるのを失念していた。
確かに、あちらもいくら使えるのかわからない状態では困るだろう。
「取り敢えず1億円くらいなら出せる。表に出せないカネだが」
『いやそんなにかからないと思う!
俺の家だって、土地建物含めて30万円くらいだったし―――』
「安いな。というより都会の地価が異常なのか」
『それより、こっちに来るのを希望している妖は身分証明書とか
あるのか?
ウチの理奈や銀、詩音、舞桜さんはマイナンバーも戸籍も
持っているけど』
それを聞いて驚く。
そういえば自分らは人間ベースだから、元々の身分証明書などを
所持しているが……
「いや、多分無いと思う。
というよりどうやって取得したんだ?」
『あー……弥月家の方でやってもらったんだ。
協力関係にある妖に、そういうのを提供する専門機関があるらしい』
「なるほど。裏の世界に精通していなければ―――
そんな『仕事』はやっていられまい。
まだまだ我々は『新参』という事か」
そして俺はその件も含め、彼に改めて協力を要請した。
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