第240話・依頼01
「もしもし? ……あ、『
あの人間ベースの人外組織のリーダーからの電話を受け取った俺は戸惑う。
確かに向こうのメンバーとも連絡先を交換したのだが―――
「何かあったんですか?」
『いや、トラブルが起きたとかいう事じゃない。
ただ相談に乗って欲しくて』
「と言うと?」
『実はこちらにも天然の
ただ、捨て駒かスケープゴートとしてね。
だが
出来ない。それに……』
「それに?」
『何というかなあ、そいつら。都会での生活が合わないと言うんだ。
そちらの倉ぼっこや
ようだが―――
俺の周りには騒がしいのが苦手な妖がちらほらいてね』
まあ理奈も詩音も東京に憧れを持っていたし、
理由があるが、何百年も守ってきた山を離れるのにあまり抵抗は無かった。
一方で彼の言うような、都会暮らしが肌に合わない妖もいるのだろう。
『そこで思い出したのが
聞けば地元の妖と幼馴染だったとかで……
彼らの生活基盤を作るにも一役買ったと聞いている』
「それは意図してのものではなく、成り行きというか。
それで俺に何を相談したいんですか?」
『雲外鏡』は電話先の向こうで何やら口ごもるが、やがて意を決したように、
『そちらの土地や家で、妖を受け入れる余地はあるだろうか』
まさかの妖の移住要請を打診された―――
『……というわけでね。
多少なりとも関わったこちらとしても、見捨てるのは後味が悪い。
それに『そちら側』とも相互協力を約束したんだ。
それなのに妖に対し冷淡なのもどうかと思ってね』
聞くと、これまでの活動も天然ベースの妖と一緒に行った事はあるらしい。
ただどれもこれも足を引っ張ったり、雑用がメインであまり戦力には
ならなかったとか。
『もちろん、こちらとしても可能な限り協力する。
ダメだと思ったら断るのもそちらの判断に任せるから』
こうして俺は、妖の移住受け入れについて『雲外鏡』と詰めていった。
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