第235話・対面02


「今どんな状況ですか?」


和泉いずみさんともう1人の野狐やこが室内に招かれた後、

 弥月みつきさん兄妹、それに鬼の隠橘おきつさんと川童かわこ推古すいこさんも

 向こうと接触しています。


 これから話し合いが行われるものと」


念のため、マンション外で特別第六課の職員たちと見張っていた俺は、

他に待機していた裕子さん、倉ぼっこの理奈と顔を見合わせる。


舞桜まおさんがいるなら、万一の事があっても大丈夫だと思うけど」


「でも話し合い? 逮捕はしないわけ?」


人間と人外の俺の恋人ズが話に入ると、無線を持っている女性職員が、


「やっぱり逮捕状の請求が却下されたんです。


 ドラッグの件で引っ張ろうにも証拠が固められていませんし、

 何より人外案件第1号だと司法も腰が引けているようで」


まあ新規の事をやろうにも、何で俺がこんな事を? とは思うわな。

特に役人なんて種族は、自分の代はどうやったら何事もなく過ごせるかを

考えているだけの連中だし……


「落としどころはどんな感じでしょうか」


第六課ウチとしては現司法のバックアップが見込めない以上―――

 今後大人しくしてくれればそれでよし、出来るなら弥月さんや

 今の人外の協力者のように、何らかの連携・協調体制を作る事が出来たら、

 と考えています」


裕子さんの質問に男性職員が返す。


「じゃーなんで特別第六課なんて作ったんだろうねー」


「新規部署を作る時はいろいろあるものなのよ、理奈ちゃん……」


火の玉ストレートを吐く人外の恋人に、人間の方の恋人がフォローを入れる。


「最低でも、ドラッグから手を引いてもらう事は必須条件です。


 弥月さんには、第六課こちらの意図を伝えてありますが」


「まあ鬼の舞桜さんがおりますし、相手もバカな真似はしないでしょう。


 とにかく待つとしますか」


俺の言葉が終わると同時に、全員がその5階のマンションの部屋を見上げた。



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