第234話・対面01


雲外鏡うんがいきょう』・『飛縁魔ひのえんま』・『雪女』・

烏天狗からすてんぐ』・『煙羅煙羅えんらえんら』の視線の先―――


ベランダの窓一枚へだてて、琉絆空るきあと鬼の舞桜まお

そして加奈と川童かわこの銀が立っていた。


「……ここ、五階とはいえマンションの最上階だぞ」


「いったいどうやって―――」


烏天狗と煙羅煙羅が身構えるが、


「出来れば、ガラス戸を開けて頂きたいのですが」


「それとも壊して入って来てもらった方がよろしいでしょうか?」


詩音と『ミツヤ』が提案すると、


「それは困るな、近所迷惑だ。それに敷金も結構したのでね」


『雲外鏡』が素直に応じ、自らの手でガラス戸を開け……

4人を中へと招き入れた。




「自分は弥月みつき琉絆空るきあ

 こちらは鬼の隠橘舞桜おきつ・まおさんだ」


「どうぞよろしゅうに♪」


まずは弥月兄妹の兄が、彼女の紹介を兼ねて挨拶する。


「鬼……」


「確かに妖力ようりょく桁違けたちがいだわ」


飛縁魔ひのえんま』と『雪女』が呆れるように言葉を発し、


「私は弥月加奈。琉絆空の妹です。

 そして彼は川童の推古銀すいこ・ぎんさんです」


「河童だと? それにしては妖力が―――」


「もしかしておさクラスか?」


烏天狗と煙羅煙羅が驚いた表情を見せる。


「あー、オラは鬼のぬし様の下で修業しただよ。

 それで普通の河童よりは強くなっていると思うっぺ」


「そこにいる野狐やこ2人も、アタイの下で鍛えたからのう」


銀の後に舞桜が、詩音と『ミツヤ』を指差して告げる。


「それでご用件は?」


テーブルを挟んで対峙する『雲外鏡』が問うと、


「まずは座らせて頂こうか」


琉絆空主導で、妹と他4人の人外がそれぞれソファに座った。




「警察関係者、ですか」


「正確には協力者という位置付けだがね。

 自分と加奈はそもそも―――あやかしを狩る一族だ」


それを聞いて先方の人外たちに緊張が走るが、


「別に問答無用ってワケじゃないわよ?

 意思疎通が出来るのであれば、協力体制も取るわ。


 現にこうして話し合っているでしょう」


ポニーテールの妹の言葉に、空気が若干和らぐ。


「……では、警察絡みでこちらへ来たという事か。

 その理由は?


 こちらは『合法的』にビジネスをしてきたつもりなのだがね」


細面の青年、『雲外鏡』が返すと、


「そうだな。その件は自分に全権が任されている。


 まずはドラッグの件から聞かせてもらおうか」


こうして、『話し合い』はスタートした。


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