第224話・発覚
「……うん?」
短髪に細面の青年が、自分のPCを見て反応する。
そして忙しなくキーボードに何か入力していき、画面に見入る。
「不正アクセスでは……ない。
ログに異常は―――いや、異常と認識されていない?
だが侵入された形跡はある……どういう事だ?」
ここは、あの人外5人が集まっていたマンションにして、
『
その家主である彼は、自分のPCに異変を感じていた。
「ハッキング?
いや、それにしては中のデータに手を付けた形跡も無い。
まさか国家が本気になって捜査を?
……それは無いか。あの連中のネットに対するお寒い現状は
知っているからな」
そして彼は天井を見上げながら少し考え、
「とにかくこのPCはデータをバックアップ後、破棄するか。
しかしいったい何が狙いだ?
極めて合法的に商売をしていたつもりなんだがなあ」
彼は自分で飲み物を用意しながら独り言のようにつぶやく。
「仕出し弁当屋の電気代やガス代が異様に低い事を不審がられたかな?
火力や冷凍はあの2人がいるからほとんどインフラを使わずに済むんだが。
いや、その程度で司法機関は動かんだろう。
『犯罪組織』でも無いのになぜ……
まあ、個々の社員が独自に『依頼』を受ける事は否定していないが」
そこへ彼のスマホの着信音が鳴り響き、
「もしもし?
―――雪女か、どうした?
また『依頼』を受けたのか?
わかった。それについては協力する。
だがこちらにも妙な動きがあった。
それが終わったら、一ヶ月ほど『依頼』は受けるな。
全員に伝えてくれ。
……ああ、次に全員集まった時に事情は話す」
通話を終えると、彼はスマホをテーブルの上に置き、
「同業者……まさか、なあ」
仕掛けてきている相手に同じ妖の存在を感じ取ると―――
その可能性を口で否定した。
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