第223話・分析07


「ふー、つっかれたー」


「お疲れ様、理奈ちゃん」


特別第六課の入ったビル、その応接室のような部屋で―――

一仕事終えた倉ぼっこの理奈がソファーでだらしなく横たわる。


「IPアドレスは判明したから、おおよその位置はわかるだろう」


弥月みつき家の長男が、口にお菓子を放り込みながら話す。


「でも特定までは出来ませんからね。

 あれ、結局のところ郵便番号がわかる程度のものですから。


 まあそれくらい、警察の方々もわかってはいるでしょうけど」


裕子が飲み物を口にしながら、自分の見解を述べる。


「だけど、場所が判明したらどうするんだ?

 踏み込むのか?」


俺が今後の動向についてたずねると、


「う~ん、まあ捜査令状の申請が通るかどうか」


「現場判断で緊急執行……が関の山でしょうね」


側にいた第六課の面々が渋そうな顔をして語る。


「だがそれ以前に、『飛縁魔ひのえんま』・『烏天狗からすてんぐ』・『雪女』が

 相手にいるんだ。


 こちらもそれなりの戦力で挑まなければ痛い目にあうぞ。

 人間だけで行くなんてもっての他だ」


そして琉絆空るきあさんも厳しい表情になり、


「鬼の舞桜まおさんの協力は得られないのか?」


俺の問いに対し彼はこちらへ視線を向け、


「確かに彼女が出ればたいていは解決するだろうが―――

 もう1人のあやかしの正体がわかっていない。


 幻惑や憑依ひょうい系だったら厄介な事になる」


あー……取りかれるというヤツか。

確かにそれで舞桜さんが敵に回ったとしたら―――考えたくないな。


そして自分も何か口に入れようと、テーブルの上にある用意された

お菓子に手を出そうとした時、ドアがノックされ、


「場所が判明しました!


 例のマンションを含んでいる地区です!!」


それは先日第六課の職員が尾行の末に突き止めた、『飛縁魔』と『雪女』が

入っていったマンションを意味し、


これで動画を撮り、送り付けた事に妖が関わっている事がほぼ確定した。


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