第217話・分析01
「仕出し弁当屋に行った後、さらに都内のマンションへ向かった……か」
数日後、特別第六課の会議室―――
拠点らしき場所が明らかになった。
メイド喫茶に潜入目的で行った職員も含め、
協力者兼指導員として会議を進行させる。
「その業者ですが、営業自体はしているようです。
従業員も社長含めて5人ほど、最小限の人員で回しているようですね」
「マンションは?」
「社長が住んでいるようです。
時々従業員も上がらせているようで」
琉絆空の質問に、事務方と思える女性職員がテキパキと答えていく。
「メイド喫茶に来たあの女性2人はそこの従業員なのか?」
「それは現在確認中ですが、その」
そこで職員の歯切れが悪くなる。
「?? 何か問題でも?」
女性職員はどう言おうか迷っていたみたいだが、やがて意を決したように
口を開き、
「調査理由が明らかに出来ないので、その捜査と情報公開の許可が
下りないんです。
まさか妖怪を探っているとは申請書には書けないので……」
そこで琉絆空は天を仰ぐように天井を見上げる。
「まあそこは仕方ないか」
「そ、その―――失礼ですが
他の男性職員が彼に問うと、
「そりゃ、こっちは国家機関じゃないからな。
探偵とか興信所みたいに、民間でやれる範囲でやっているよ」
実際は非合法スレスレどころか真っ黒な手段も使っているのだが、
さすがにそれを治安機関の中で明言する事は琉絆空には出来ず。
「一応、場所と身元を抑えたと思えばいい。見張りは継続して行おう。
あと現時点でわかっている情報だけでもいいので、データとして
提出してもらえると助かる」
「わかりました」
そこで会議は終わり、琉絆空は弥月家の例の調査機関へ情報を回す事を
考えていた。
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