第216話・スカウトの進捗
とあるマンションの一室―――そこに5人の人外が集まっていた。
「う~ん……
まだ20代の細面の青年が口を開く。
「そうなんですよ、
「兄は美形だし弟君も可愛いしで……!
あれは絶対に仲間に引き込むべき逸材です!!」
人材について興奮しながら語る。
「何ていうか、強烈なヤツを見つけて来たな……」
「聞いている限り、君たちの欲望100%な人材のような気がするんだけど」
20代くらいの青年2人―――
ボサボサの短髪をかきながら
呆れ気味に返す。
「そんな事ありませんよぉ、雲外鏡様!」
「あの子たちは絶対戦力になりますって!」
それを聞いた彼は両腕を前に組みながら、
「ドラッグは正直言って失敗だったからな。
今後は、依頼をして来る人間にも協力を要請した方がいいかも知れん。
しかしメールをしてから、ずいぶんとここに来るまで時間がかかった
ようだが」
「あー、一応表の商売のところに行って来たんです」
「私の能力で食材とか凍らせてますので、その確認と追加で……」
女性2人の言葉に、他の男性2名も、
「ああ、仕出し弁当屋って事になっているもんな。ウチは」
「しかし飛縁魔と雪女がいれば火も冷凍も使い放題だし―――」
彼らの言葉通り、表では弁当をメインに扱っている会社であり、
そして5人は社長と従業員という事になっていた。
「まあしばらくはこの稼業で続けていくとしよう。
『裏』を牛耳るのはまだ先の話で……
ところで飛縁魔、雪女」
「はい」
「何でしょうか」
トップである雲外鏡の質問に彼女たちは聞き返す。
「いや、確かそのスカウトしている姉妹? 兄弟? について―――
人間の協力者がいる可能性があるって言ってなかったか?」
「「あ」」
その問いに女性陣は揃って同時に声を上げ、
「忘れていたな……」
「妖になっても、こういうところは抜けたままなんだよねえ」
烏天狗と煙羅煙羅がため息をつくと、
「うっさいわね!」
「あんな衝撃的な情報を入手したら、いろいろ吹き飛んでも
しょうがないでしょ!?」
そこでややヒステリックになった女性陣の声で騒がしくなり―――
「……? 何だ、いったい?」
マンションまで突き止めた特別第六課の職員が見上げながら、
その大声を聞いていた。
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