第215話・見張り04


「行ってらっしゃいませ、お嬢様ー♪」


と、詩音の声を背中に受け……

眼鏡&長髪の女性と、ショートカットの同性が店を後にする。


「(こちら潜入組。

 どうやらあの人外2名が店を出る模様。どうしますか?)」


すかさず特別第六課の女性職員が外にいてバックアップしている

男性職員に連絡し、


『ここから先はこちらが受け継ぐ。


 弥月みつき加奈さんの指令で、妖力ようりょくのある者が尾行するのは

 気付かれかねないとの事。

 また加奈さんも常に河童の推古すいこさんと共にいる事から、

 妖力の匂いで感付かれる恐れアリ。


 よって第六課の男性職員で彼女たちの後を追う。以上』


今後の方針が一通り店内に伝えられると、


「(わかりました。では我々はしばらく待機という事で)」


『頃合いを見て退店してくれ。以上』


そして女性職員たちはアイコンタクトをし、互いにうなずくと、

片手を挙げて注文の合図をする。


そして彼女たちはやって来た詩音を見上げ小声で、


「(お疲れ様です。先ほどの人は第六課で尾行するそうです)」


「(詩音さんはこのまま、普通に営業していてください)」


それを聞いた詩音はうなずいて、


「……ありがとうございます♪

 ご注文、承りますっ!」


すると女性職員たちは再び小声に戻り、


「(じゃあ経費だし、いっぱい注文しますか♪)」


「(この店の売り上げに貢献しませんとねー。

 あー、ホストにはまる人の心境が理解出来る気がする)」


そして2人はメニューに載っている物を片っ端から注文し始めた。




「いやいやいやっ!

 てかあの人もあやかしだったよね? 妖力あったし!」


「とゆー事は姉妹じゃなく兄弟ですかあの2人ー。

 これはとんでもない人材を見つけてしまったかも知れません……!」


その頃、飛縁魔ひのえんまと雪女は―――

この情報を他の仲間に伝えるべく、目的地である拠点へ急いでいた。


「あの子の兄がアレかぁ~……こりゃ将来が楽しみな事で♪」


「とにかくみんなにメールしないと♪」


と、スマホに仲間宛のメールを打ち込む彼女たちだが、その後ろを

特別第六課の男性職員が尾行けている事に気付く事は無かった。


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