第213話・見張り02


「お帰りなさいませ、ご主人様、お嬢様♪」


「詩音様、こっち甘々あまあまミルクセーキ♪」


「えっと私は―――

 ふわふわ雲クリームのパンケーキで♪」


詩音の働くメイド喫茶を見張る事になった第六課の女性職員は、

ノリノリで注文する。


今回いるのは覚醒後の詩音の方で、琉絆空るきあから連絡を受けていた

彼女(彼)は普通通りに立ち回る。


『オイ、遊びじゃないんだ。

 仕事で見張っているって事、忘れているんじゃないだろうな』


そこへ男性職員から耳に付けた超小型の機器へ連絡が入るが、


「任せておいてくださいって♪」


「もう釘付けです♪

 片時も目を離しませんよぉ」


そういう彼女たちの視線は絶えず詩音へと向けられており、

ある意味任務はちゃんとこなしていると言えた。


「あら?」


「今日はあの子はいないのかしら?」


そこへ、眼鏡をかけた秘書風の女性と、ショートカットの―――

飛縁魔ひのえんまと雪女が姿を現した。


「!」


弥月みつき家が提供した『人外探知機』……

それが強い反応を示した事を特別第六課のメンバーは見逃さず、


「(人外が店内に入りました。

 おそらく今入って来た、20代の女性2名だと思われます)」


「(詩音さんも気付いたようです。

 こちらに決められた合図を送って来ましたから)」


小声で外で待機している男性職員に連絡を入れる。


この時詩音は可愛らしいポーズを取って、靴のつま先を床にコン、と

つつき、それが人外確定の証明となった。


『了解。現在こちらには琉絆空さんの妹、加奈さんと―――

 河童の推古すいこさんが待機している。


 今回は相手を刺激する必要は無い。

 情報収集に留めろ、との事だ』


「(了解です)」


「(わかりました)」


そして人間の女性職員2名は、人外の2人の女性の動向を見守った。


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