■8章 人間ベースVS天然

第211話・スカウトの報告


とあるマンションの一室―――そこに5人の人外が集まっていた。


「仲間となるあやかしを見つけたと?」


まだ20代、琉絆空るきあよりも若そうな細面の青年が口を開く。


「そうなんですよ、雲外鏡うんがいきょう様」


「人間で言えばまだ中学生くらいの女の子でしたけど。

 可愛い野狐やこでしたわ♪」


眼鏡をかけた秘書風の女性……飛縁魔ひのえんまと、

短髪のボーイッシュな女性、雪女がメイド喫茶で出会った妖について語る。


「そんな子供を捨て駒として使うのか?」


「ちょっとそれは僕も引くなあ」


ボサボサの短髪をした20代くらいの青年、烏天狗からすてんぐと、

同じくらいの年齢の気弱そうな青年、煙羅煙羅えんらえんらが消極的に返す。


「いやいや。私たちもそこまで鬼じゃありませんって」


「ただちょっと粉かけて来ただけですよ。

 それにずいぶん人間社会に適応していたみたいだし、子供しか入れない

 ところへの潜入も期待出来るかな、と」


女性陣はあくまでも『もし入ったらいいな』くらいの感覚だと説明する。


「人手不足は確かだからな。


 しかし―――子供を働かせても大丈夫なのか、その店は?」


雲外鏡が一般論で疑問を呈すと、


「そこで働いている人がお姉さんという話でしたから」


「まあそういう設定で……

 預かってもらう間、お手伝いしているんじゃないでしょうか」


女性陣の答えを受けて、


「まさか本当に身内も妖―――姉妹というわけではないだろう」


「という事は人間の協力者がいるって事か?

 まあそうでも無ければ、人間の店で働けないと思うけど」


4人の妖の男女は互いに顔を見合わせ、そしてリーダー各である

細面の青年に視線が集中する。


「そこは確認しておいた方がいい。


 もし本当に仲間に引き入れるつもりならば、な」


そこで他の4人はうなずき……

いったん場はお開きとなった。


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