第210話・マンションにて


「……というわけでして。

 はい、飛縁魔ひのえんま、雪女と名乗っていました。


 これって、今弥月みつき家の人たちが追っている案件と関係しているんじゃ

 ないかと―――」


詩音は武田氏のマンションへ戻ると、さっそく東北の安武やすべ満浩みつひろの家、

そこにいる加奈に連絡していた。


例の女子高生3人組……

瑠奈るな水樹みずき一花いちかが、すでに覚醒後の姿に戻った

彼の体にまとわりつくような状態で。


深夜、11時過ぎにも関わらず向こうにいた全員が集まり、向こうで

スピーカーにつなげられ緊急会議が開かれる。


『何で詩音のお店に?』


満浩が心配そうに問うが、


「一応聞いたんですけど、偶然と言ってました。

 それと仲間になるのは別に断ってもいいような、軽い感じで」


『飛縁魔―――か。

 確かに火のあやかしではあるが。


 今回の事件に関係ある人物かも知れない。

 特別第六課に後でメールしておこう』


琉絆空るきあが話に参加し、すぐに対応する。


「それにしても……

 『社会の害になる人間に害をなす』ですか」


ツインテール&三白眼の少女が詩音の後ろから両腕を回しながら語り、


「表向きの商売がお弁当屋さんというのも、これまた」


ショートストレート&細目の少女が右腕に抱き着き、


「……時代劇の仕○人……それも妖の……

 いい……! 実にいい……」


ソファに座る詩音の太ももに頭をくっつけるように、ジト目に丸顔の

ポニーテールの少女が寝そべる。


『あの、3人とも?

 もしかしたらあなたたちを襲った男―――そいつに例の薬を与えたのが、

 その2人なのかも知れないのよ?』


警戒も兼ねて裕子がたしなめる。


『何か身元につながるものは無いべか? 名刺とか』


「それはありませんでした。

 ただ、あの口調からするとまた店に来るんじゃないかと」


銀の質問に詩音がそう言うと、向こうでしばし沈黙が流れ……


『しばらく東京にいた方がいいのかなー?』


『そうだな。ここには週末しか帰らないとはいえ―――

 ほぼ全員がこちらにいるのは少し偏り過ぎている気がする』


『そうじゃのう。アタイもすでに上京は済ませておるし……

 野狐やこどももそれなりに仕上がった。

 いつでも山は空けられるぞ。


 最終的には琉絆空様に従うが……どうする?』


と、理奈・満浩・舞桜まおがそれぞれ考えを述べ、


『じゃあ、週末はこのメンバーで半々に別れて残る事に』


と、満浩主導で交代制の人員選定が始まり―――

最終的には、


弥月兄妹組(銀・舞桜含む)と、満浩組(理奈・裕子含む)で

ローテーションを組み……

詩音は基本東京に残り続ける形となった。


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