第207話・情報共有02


「いきなり建物ごと燃やされたと……

 敵さん、なかなか大胆と言うか行動力あるなあ」


週末―――東北の俺の実家に集まった弥月みつき兄妹を前に、

昼の食卓を囲みながら雑談・情報共有を行っていた。


今回、詩音とあの女子高生3人組は来てはおらず、そのまま

裕子さんのマンション……東京に滞在している。


そして俺の両隣りには裕子さんと倉ぼっこの理奈、

琉絆空るきあさんの隣りには鬼の舞桜まおさん、

加奈さんの隣りには川童かわこの銀が座っていた。


「そのへんの事情はゆっちー経由で聞いているけど―――

 じゃー今は八方ふさがりなワケ?」


理奈が照り焼きチキンに手を出しつつたずねる。


「そこまででも無い。

 火・風・そして実体の無いあやかしが最低3人いる事がわかったし、

 不審火に関する情報も収集中だから」


「ただまあ、問題は突き止めた後なのよね」


兄の次に妹が続く。


「?? 何が問題なんだっぺ?」


銀が恋人の言葉に聞き返す。すると琉絆空さんがため息をついて、


「突き止めたところでどう対処するのか決まっていないんだと。


 要するに法律上どうこう出来る存在じゃない。

 自ら燃え上がったり姿を消したり、なんて容疑で逮捕しようものなら

 まず裁判やれば負ける」


「そういうのは特別第六課……新しい組織を作った時点で準備しておく

 ものではないのか?」


舞桜さんが彼氏の説明に呆れながら答える。


「それはお母さんも言ってたけど―――

 そもそも特別第六課が非公式の存在で、それに付随する法整備も

 手間取っているみたいなんです。


 弥月家ウチに声かけてきたのも、しばらく後始末をやらせるつもり

 だったんじゃないかって」


俺の隣りで聞いてた裕子さんが一息ついて、


「まあ人間世界ではよくある話ですよ。


 やらなければいけない事だとはわかっていても……

 責任問題になるのは嫌とかで、見切り発車でいろいろ準備が

 整っていない状態でスタートするのは」


彼女の言葉を聞くに、今までそういう経験をしてきた事は想像に難くなく。


「琉絆空様。いざとなったらアタイが出るけど」


「確かに舞桜さんが出て来た時点で解決だろうけど―――

 それだと結局こちらで全部やっちゃう事になるからなあ。


 今は情報収集してもらっているし、少しはあっちにも

 汗かいてもらわないと」


そこで7人が笑い合い……

昼食を続けた。


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