第199話・調査05
都内の寂れた場所にある、五階建ての古びたビル。
そこへ
ビルの外見こそ古いが―――ここは
最新鋭の機器が揃えられた部屋で、アラフィフの眼鏡をかけた会社員らしき男と
彼は向かい合っていた。
「難しいか?」
「正直、情報が足りな過ぎる。
お前さんも知っての通り、実体の無い
あとは音だけの妖もそれに該当するかも知れん」
年配者の意見に、琉絆空は黙ってイスに腰かける。
会社員風の男は続けて、
「……例の人間ベースか」
「ああ、恐らくはな。簡単にシッポはつかませないだろう。
警察が特別第六課を新設した途端、急に動きが無くなったと聞くし―――
本当に厄介な話だ」
それを聞いて眼鏡の会社員は目をパソコンから彼へと移し、
「場所は心霊スポットと言ったな?」
「そうだ。もう何人もケガ人が出ている事で有名らしい。
あのバカと同じく、床に空いた吹き抜けの穴に落下、というのが
お決まりのパターン。
まだ死者が出た事は無いようだがね」
琉絆空が呆れ気味に話すと、
「お決まり、か。かも知れんな。
そこだけでケガ人が続出しているというのなら……
トラップを仕掛ける場所として活用している可能性がある。
わざと挑発したり、誘い込んだりして―――」
「と言うと?」
年配者の言葉に、彼は上半身を差し出すように顔を向ける。
「そこをもっとよく調べろ、と言っている。
もしそういう目的のために使う場所なら、何らかの
それを聞いた琉絆空は立ち上がり、
「ありがとよ、おじさん!
次は甘い物でも持ってくるぜ!」
いそいそと荷物を取りまとめるが、彼の後ろから、
「それで―――
うまくいっておるのか?」
予想外の言葉だったのか、思わず姿勢を崩す。
「しかし鬼と一緒になるとはのう……
加奈ちゃんもそうなる予感はしておったが、まさか兄妹揃ってとはなあ」
「い、いや、そ、その話はまた後で」
そう言うと琉絆空は、逃げるように部屋から退出した。
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