第193話・廃ビル02
「さて、人気の無い場所をご希望のようにでしたが……
ここでよろしいですか?」
「おう」
郊外のとある廃ビルの3階で、
「それでドラッグがどうのこうの言ってましたけど、私はそんな事を
知らないんですよ。
ドラッグを渡したという男と話していたというだけで、どうして
疑われなくちゃならないんですか?」
彼は改めて無関係である事を説明するが、
「じゃあ警察に通報して欲しいのかよ」
「そうは言っておりませんが……」
身長差が10cm以上もある事もあり、亮一は威圧しながら語る。
「結局のところ、何がしたいんでしょうか。
それにドラッグを渡したのが私が話しをした男だというのであれば、
追及するのはその人の方では?」
「まあそうなんだけどよ。お前の方が楽そうだったんでな。
というわけでちょっとばかし迷惑料、ちょうだい♪」
人を小ばかにしたような笑顔を向ける。
体格差もあり、脅せば言う事を聞くと確信して―――
すると青年は大きくため息をついて、
「いくら警察と関わりたくないと言っても限度がありますよ。
何を考えているんですか、あなたは?」
「あ? ちゃーんと口止めするに決まってんじゃん。
何発かボコった後それを撮影して、あとお前の免許証とか
カードとかもらうからよ。
もし警察に言ったら、いろいろと流してやるぜ♪」
そこで亮一は距離を詰めるが、
「何を話すのかと思って、わざと尾行させましたが……
話す価値も無いゴミだったとは」
「あ? 今なんつったてめぇ?」
体格差の違いから絶対的な自信を持っていた亮一は、男を
つかもうと手を伸ばすが、
青年はその手をするりと抜けて、部屋の外へと駆け出し―――
「っ! 逃がすかよクソが!!
ってバカじゃねぇのか? 階段を上がっていくなんてよ!」
その言葉通り、彼は階段を駆け上がっていて……
亮一はその後を追いかけ始めた。
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