第184話・女子高生3人組、来たる07


「ふぅ……」


火曜日、俺は東北の家に戻って来ていた。


あの女子高生3人組は、しばらく土日だけ裕子さんの家―――

つまり一緒に詩音が住んでいるマンションにご厄介になるんだそうだ。


詩音は詩音でメイド喫茶に勤めているから、基本的な生活基盤は東京に

シフトするそうで、


東北に帰ってくるのは、2週間に1度くらいの割合になりそうだと

言っていた。


そして裕子さんと同じく俺の恋人となった倉ぼっこの理奈は、

彼女に悪いと思ってか俺と一緒に東北に帰るスケジュールを変えて、


今は裕子さんのマンションにお世話になっているらしい。

つまり彼女のマンションで、理奈、詩音との3人暮らしとなったわけだ。


「何か一気に寂しくなったなあ」


「そりゃ仕方が無いっぺ。


 理奈ちゃんだって、1人だけミツとこっちに帰って来て……

 とは裕子さんの手前言えないっぺよお」


川童かわこの銀の言葉を聞いて、改めてえらい事をしでかして

しまったのではないかと自問自答する。


いくら裕子さん公認とは言え、2人いっぺんに相手を―――

という関係になってしまったんだから。


「なあミツ、オラはホッとしているだよ?

 理奈ちゃんをミツがもらってくれて。


 あやかしが視える人間なんてそうそういないし、

 それにここの安武やすべ家の家主だべ。


 オラとしては、一番いい関係に落ち着いたと思っているべ」


続けて銀に言われ、俺はやっと安堵あんどした。


「そうだな……

 こうなった以上はどちらも愛するつもりでいるし。


 そういえば銀は今後どうするつもりなんだ?

 加奈さんと一緒にこちらに住むのか、それとも―――」


「加奈さんはいずれこちらで暮らすつもりらしいんだべ。


 ただ勤めている会社の事もあるし、しばらくはまだ通いで、

 と言っていたっぺよ。


 オラもこちらの『源一げんいち』旅館が今は仕事場だべなあ」


すると敷地へバイクが1台入って来て、


「アマ〇ンでーす。ハンコお願いします」


あー、多分ペットのエサ用の冷凍ネズミだな。

そんな事を考えながら、俺は対応するため玄関へと向かった。


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