第172話・弥月一族の戦力として05


「では、弥月みつき一族の新たな協力者に……」


「「「乾杯!!」」」


司会に収まった琉絆空るきあさんの号令で―――

全員がコップを掲げる。


あの後、人外4人が正式に協力者と認められた事でそのまま宴会に移行し……

あいさつを兼ねて夕食を楽しんでいた。


俺の隣りには裕子さんが、琉絆空さんの隣りには舞桜まおさんが、詩音の周囲には

あの女子高生3人組がおり、


それぞれ『カップル』である事を無言でアピールしていたが―――


「……推古すいこ君。君、ずいぶんと娘と仲が良いみたいだが」


そこで加奈さんと一緒にいた川童かわこの銀がお父さんの目に留まり、


「か、加奈さんとは仲良くさせて頂いておりますっぺ」


褐色肌のハンサムな青年がしどろもどろになりながら返す。


「仲良く、とはどういう事かね。この前会った時はそんな事は言わなかった

 はずだが……」


学者さんなのだが、その武人のようないかつい風貌ふうぼうを持つお父さんの

迫力はすさまじく―――

周囲は緊張した空気に包まれるが、


「お義父とう様。そんなにアタイの同郷の者をいじめないでくださいませ」


「ま、舞桜さん」


加奈さんが救世主を見るような目で鬼娘を見つめる。


「それに、そんな事を言うのであれば……

 琉絆空がアタイにした事も結構なものでしたよ?


 それこそ一晩中、あんな事やこんな事を」


「お父さんの息子だものねえ。

 体力もあるし、結構エグい攻めするでしょう?」


そこに巫女姿の少女のような外見のお母さんも参戦し、


「いやあの、人前で言われるのはちょっと……」


「聞きたくなーいっ!

 両親のそういう話は生々し過ぎるって!」


息子と娘である弥月兄妹が反発して語る。


「じゃあここから先は……」


「女同士の話といきますか?」


「決定ー! じゃあ男どもはここから出ていってー」


と、なぜか弥月一族と人外の女子会が始まり……

俺と銀、お父さんと琉絆空さんは他の男性陣と共に別の部屋へ放り出された。


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