第168話・弥月一族の戦力として01


「ん? 誰からだったの?」


黒髪ロングストレートの高校生くらいの少女が、スマホでの通話を終えた

俺にたずねてくる。


「裕子さんからだよ。


 近いうちにお前ら、弥月みつきさんのところの一族に顔を出すよう

 連絡が来るらしいから。

 それに備えておいて、だってさ」


倉ぼっこ=理奈が胸の前で両手で握りこぶしを作り、


「おー! それって銀ちゃんと加奈さんの仲が認められそうって事?」


「どうだろうなあ。

 協力者としてはすでに面通ししているし―――


 あ、じゃあ銀の方が詳しく話を聞いているかもな」


と、俺と理奈が話していると日焼けしたような褐色肌の青年が、


「ちょっといいべか?

 今、加奈さんから連絡があったんだべが」


川童かわこの銀が加わり……情報を共有、すり合わせる事となった。




「元が人間のあやかしの集団、か」


「どうも弥月一族でそれが問題になったらしいっぺ。

 それで、協力者であるオラたちの紹介を早める事にしたみたいだべ」


恋人が弥月家の人間だから、俺よりも詳細は聞かされていたようで―――

銀の言葉に俺と理奈は顔を見合わせる。


「じゃあお前たちに詩音を合わせて、例の3人組と……」


「当然、主様にも連絡は行っていると思うから、4人でだね」


詩音は今は東京の裕子さんのマンションを拠点にしているので、

ここにはいないが―――

情報は通っているだろう。


「人間のメンバーはどうするだべか」


「俺はお前たちの保護者みたいなものだからな……

 それに弥月一族と共に妖を狩るようになった、裕子さんが彼女でもある。


 琉絆空るきあさんと加奈さんも当然参加するだろうし、

 まあいつものメンバーは同席するんじゃないか?」


俺の言葉に、銀と理奈はホッとした表情を見せ、


「じゃあさっそく顔合わせ用の衣装を買わないと。

 せっかくお給料もらっているんだしー」


「オラの場合はどうすっぺかな。

 加奈さんに見立ててもらうべか」


「そんな、サークルか何かの団体への顔見せみたいな、のんびりした

 ものじゃないと思うんだがなあ」


俺の言葉をよそに2人は、服装についてスマホを交えて話し合いを始めた。


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