第165話・人間ベース03
「あー、その事なんですけどね」
「何かお父さんもお母さんも、家にいない事が多くなったんですよ。
何でも警察のお偉いさんと交渉しているとかで」
「警察って……ある意味、
俺がそう言うと、中肉中背の細マッチョタイプの兄が、
「表面上はそうなんですけどね。
まったく関わってなかったという事でもないんです」
「
それで意図的ではないですが絡んだり、解決したりという事があったようで」
兄妹の話にこちらはふむふむとうなずき、
「ああ、妖を狩る最中にかち合ったという事か」
「なるほど、それならあり得そうだっぺ」
鬼娘である
「なるほど……協力関係では無かったにしろ、関わったというだけなら
十分考えられる話でしょう」
「確かに今の僕たちなら、銃弾すら効かなかったもんね」
裕子さんと理奈が続けて答える。
確かに、以前893とやり合った時はほぼ一方的に叩きのめしたと
聞いているからなあ。
「ただ今回は今までと違う感じがするなあ」
「だよね。事後処理関係でちょこっと話してくる事は何度かあったけど、
何日も通い詰めて話し合うなんて初めてだし」
細マッチョタイプの兄と、ポニーテールの妹が思い出しながら話す。
「まあ重要な案件であれば、そのうち琉絆空殿にも話が行くのではないか?」
「オラもそう思うべよ。多分家族に話すほどの事じゃない段階だけのような
気がするっぺ」
舞桜さんと銀がそれぞれの恋人に向かって話し、そこで一段落ついた。
「……人材を選定すると言っていたのでは?」
「も、もうしばらくお待ちを。
何せ事が事なだけに、審査を重ねている最中でして」
一方その頃―――
警視庁本部では、特別第六課新設にあたり弥月夫妻を招いての交渉が
連日続けられていたが、
「普通、決まってから呼び出しするものじゃないかしら?
こちらだってそれほどヒマじゃありませんのよ?」
「も、申し訳ございません。今しばらく」
武人のような
刑事部長を相手に不機嫌そうに対応していた。
「それにしてもなぜ今なのだ?
手を組むというのであれば、これまでも幾度もその機会はあったはず」
「そうねえ。そこはウチも気になっておりました。
いい加減、お話ししてくださらないかしら」
しばらくの沈黙の後、部長は意を決したように口を開き、
「人間が元となった妖だけで、構成されている組織があると言えば」
その言葉に、弥月夫妻の動きが一瞬だけ止まった。
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