第148話・一花視点01
「お帰りなさいませ、ご主人様、お嬢様♪」
「3名様ですね? こちらのお席へどうぞ」
……ワタシ、
あの秋葉原のメイド喫茶に来ていた。
友達の
ここに来るのももう何度目か……
「2人とも何にするー?」
慣れた手つきで水樹ちゃんがメニューをテーブルの中心に差し出し、
ワタシは瑠奈ちゃんと一緒に目を通す。
「……まあ、いつも通りで……」
「そうね。小腹が空いているけど、ガッツリ食べたいって
ほどでもないし」
……そう言ってワタシたちが注文したのは―――
ホットケーキとフルーツジュース……
軽い、という事もあるけど……
実情として、安いという事もある。
ここは他のメイド喫茶に比べればまだ良心的な価格設定みたいだけど、
学生に取ってはコレが限界という悲しい現実もあるのだ……
そして料理を食べつつおしゃべりをしていると、
詩音お姉さまがやって来て、
「3人とも、まだ食べられるかしら?」
……恐らく染めているんだろうけど、そのシルバーの長髪に思わず
うっとりしてしまう。
「えっ? ま、まままあそれなりには?」
「たっ、ただフトコロが心もとないと言いますか」
水樹ちゃんと瑠奈ちゃんが焦りながらも答えると、
「良かった♪ じゃあ、コレ帰りにでも食べて♪」
そうして包みを人数分差し出され―――
「……あの、これは……」
「あら、HPにあったでしょ?
『お土産をもらえるかも』って。
だけど手料理だと、持ち帰ってもらうのもいろいろあるから……
おにぎりにしちゃったの♪
一応、手作りって事で……ね♪」
目の前で拝むように手を合わせ、謝るように頭を下げる
詩音お姉さまに対し……
「ゴチになりますっ!!」
「ゴチッ!!」
と、友達2人は何か奇妙なポーズを決め……
「……よ、よく味わって食べます……!!」
ワタシもお姉さま手ずからの料理を受け取ると、
「詩音お姉さまー、こっちには!?」
「お姉さま、アタシもー!!」
方々から声が上がり、
「たくさんあるから大丈夫ですよ♪
でも、帰ったら早めに食べてくださいね♪」
その言葉に、店内は異様な盛り上がりを見せ……
ワタシもその包みを前に、神への捧げもののようなポーズを取った。
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