第147話・水樹視点01


瑠奈るなちゃーん! 一花いちかちゃん!

 今度の週末空いてる?」


あたし・速瀬はやせ水樹みずきは放課後、同じクラスの友達2人に

元気良く声をかける。


「どーせまたあのメイド喫茶でしょー?」


「……最近……多い……」


ツインテール&三白眼と、ポニーテール&丸顔&ジト目の2人が

呆れながら返してくるけど、


「じゃあ行かないの?」


あたしが細目の目をより細くして聞き返せば、


「まあ思ったよりも面白いところだし」


「……あれは……眼福がんぷく……♪」


と、瑠奈ちゃんも一花ちゃんも反対しないのだ。


「あ、でもお母さんから注意されたなー。

 最近、あそこで変質者が出たんだって」


「……まあ……そこまで遅くなければ大丈夫……だと思う」


その噂はあたしも知っている。

でも夜中の22時を回っていた時の事らしいし、あたしたちはたいてい

20時で帰るから問題は無いと思う。


「でもまー、あそこはそこまで高くは無いとはいえ、

 私たち学生ズに取ってはそう頻繁に行けるところじゃないよう」


「……駅から離れている分……家賃が安いから、だと思う……

 でも、そうそう行けるわけでも……ない……」


話がややダウナーになって来たので、あたしはスマホを取り出し―――

見つけたばかりの情報を彼女たちに見せつける。


「んっふっふ。これを見るがよい」


そのスマホ画面を瑠奈ちゃんと一花ちゃんが注目すると、


「ん? んんん? これって!?」


「……詩音お姉さまに……お土産をもらえるかも……!?

 しかも無料って……!」


そこであたしはスマホを下げて、


「多分、手料理だとあたしは見ているよー。


 ただ料理として売るとなると衛生法とかいろいろ引っ掛かるし、

 面倒くさい事になるから、そういう形で掲載しているんじゃないかなあ」


「なるほど。それなら無料というのもうなずけるわね」


「……クッキーという線も……あり得る……!

 これは……万難ばんなんはいしてでも、行かねば……!」


こうしてあたしたちは合意し、次の週末を待つ事になったのだった。


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