第140話・初顔合わせ03


「なるほど。そちらの2人と安武やすべさんは幼馴染おさななじみだったのですか」


「ええ。野狐やこの方はつい最近合流しまして―――

 そっちは彼らの幼馴染だったそうです」


しばらく雑談しながら、続けて家にいた人外3人組の話に入り、

年の近い俺と弥月みつき父が言葉を交わし、


「倉ぼっこと川童かわこ、それに野狐やこと聞きましたが……

 それにしては妖力ようりょくがとても高く見えます。


 一般のあやかしのそれではないですよ。

 それでも、そこにいる隠橘おきつさんの比ではありませんけど」


母親の方から、3人の実力についてお墨付きが出る。

もっともそれでも、鬼の舞桜まおさんの方がずっと強いらしい。


「ああ、彼らも舞桜さんが鍛えたんだそうだ。

 それで今、3人とも人間と同じように仕事しているよ」


琉絆空るきあさんがそれとなく、理奈・銀・詩音の説明をしてくれる。

今後の事を考えると、彼らの事も詳しく話しておいた方がいいだろう。


「それは重要だな。


 人間の仕事をしている事―――

 いざという時、それは信用となる。


 私たちのような稼業の人間に取っては得にな」


父親が、弥月一族として言葉を述べると、


「あなた、それだと隠橘さんが……」


「お父さん、ちょっとデリカシーが無いよー」


そういえば舞桜さんには、まだ人間世界での仕事は無かったな。

妻と娘に突っ込まれて父親は首をすくめ、


「あっアタシはここ一帯のぬしなので、好きに動けないだけですからっ。

 それと野狐たちの群れも鍛えてますので、今しばらくすれば自由に

 動けるようになるかとっ」


慌てて抜群のプロポーションを持つ鬼娘がフォローに入る。


「いやすまない。責めているつもりは無かったのですが」


「だけど、それももうすぐ何とかなるから。

 そうなれば戦力としては―――」


琉絆空るきあさんが彼女に続いて言葉を続けるが、不意に彼の

お母さんが立ち上がり、


「ん?」


「えっ?」


俺と裕子さんが思わず声を上げると、彼女はそのまま舞桜さんに近付いて

手を取り、


「1つだけ、確認したい事があるのですがいいかしら?」


「は、はい?」


弥月さんのお母さんは腕輪のようなものを取り出し、


「これを付けてみてくださる?」


「は、はあ」


鬼娘は勧められるがまま、それを片方の手首につけた。



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