第141話・初顔合わせ04


鬼娘である舞桜まおさんが、琉絆空るきあさんの母親から

勧められた腕輪らしき物を付けた瞬間、それは起こった。


一瞬、その腕輪が光ったかと思うと、


「あっ」


「え?」


俺と裕子さんが同時に声を上げ、


「んっ?」


「ほへ?」


続けて川童かわこの銀と加奈さんが疑問の声を発し、


「ななっ!?」


ぬし様!?」


倉ぼっこの理奈と、野狐やこである詩音も驚いて叫ぶ。


なぜなら、腕輪をはめた途端に舞桜さんは―――

覚醒前の姿である、10才くらいの女の子の姿になっていたからだ。


「こ、これは……! お母さま!? どういう事ですか!?」


鬼っ子となった彼女が反発とも抗議とも取れない感情を込めて

問い質すと、


「……やっぱりね」


中学生くらいに見えるお母さんは落ち着いていて、

一方で父親の方はと言うと、片手の手の平で顔をおおって、


「こ、これほどの逸材いつざいとは……!

 琉絆空はこの父を超えたというのか……!?」


「いや待ちやがれ! てか何が起きているんだよ!

 母さん、何がしたくてこんな事を!?

 ていうかやっぱりって何!? やっぱりって!?」


息子が混乱しつつも母に向かって問い詰めると、


「だって、あなたのタイプとは正反対だったし……

 それで妖力ようりょく封じの腕輪を持ってきていたんだけど、

 正解だったようね」


「え? そんな理由?」


俺は思わず呆れ半分に口を開く。

すると隣りにいた裕子さんが片手を挙げて、


「えっと、その、つまり―――


 最初から『そういう』相手と見ていたって事でしょうか?

 『協力者』としてではなくて」


彼女の質問にお母さんはニッコリと微笑み……


「あちゃー」


「さすがだっぺ」


「お母さま強過ぎます。いろいろな意味で―――」


理奈・銀・詩音の人外3人組も、彼女の『実力』を認めたのだった。



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