第134話・弥月家にて05


「お~…………」


「あ~…………」


夕食後、琉絆空るきあ加奈かなは兄の方の部屋へ戻り、

そのダメージから体を回復させていた。


「いやお母さんスゴくね?

 何であそこまで子供の好みとかタイプとか見破るのよ」


「まあおかげで、協力者としての紹介は出来たけど」


妹が半分涙目で訴えるように語るのを、兄は一応の目的達成が出来た事で

なぐさめる。


「それが唯一の救いよね。

 日を改めて会うんだっけ?」


「ああ。その約束を取り付けたから、まずは舞桜まおさんに

 連絡しないと」


琉絆空はスマホ画面を忙しなくタップして、彼女にメールを送る。


「でもどこで会わせるの?」


「そういえば場所の指定は無かったな。

 だけど、もう4人とも戸籍持っているし、家に来るにしても別に

 障害は無いから―――」


そんな事を話しながら、兄妹は最初の段階……

琉絆空の彼女を紹介する話を通せた事に安堵した。




「しかし、母さんは何でもお見通しだな」


「当たり前ですよ。私が産んだんですから」


一方下の階では、まだ食卓で両親がくつろぎ―――

夫婦としての会話を交わす。


「だが、鬼を戦力として引き入れたのは大きい。

 他にもあやかしの協力者がいるらしいが、そっちは別に

 鬼に比べれば無視しても構わんくらいだろうし」


「そうですね。

 ただ念のため、実家に連絡しておこうかと」


夫は妻の言葉を聞いて一瞬黙り込む。


「……何か懸念するような事があるのか?」


「あらやだ、お父さん。

 鬼相手なんですから、用心し過ぎる事は無いと思いますわ」


「そ、そうだな。

 それに鬼相手なら、母さんの方が専門か。


 それと―――

 どこで会う事にしようか」


ここでもあっちでもどちらでもいいんですけどね。

 まあ向こうに行った方が手っ取り早く終わりそうですけど」


「??」


母親は娘の相手の存在も感じ取っていたのだが、父親はきょとんと

首を傾げた。


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