第132話・弥月家にて03
「んなっ、ななな何を言って」
「ゴホゲホッ、き、気管に入ったあっ!?」
吹き出したお茶を慌てて拭く。
それを見ていた父親がため息をついて、
「お前らなあ、『人外探知機』の存在を忘れていないか?
あれだけ
基本的には妖力に反応し、人外だけでなく人外と関係が深い人間にも反応する。
「い、いやそりゃだってホラ。
この前言ってただろ? 妖の協力者が出来たって」
「ええ。だからその中の誰と誰があなたたちのお相手なのかなーって」
「そそそ、そんなんじゃ無いってー、お母さん」
少女、と言っていいほどの外見の母親は涼し気な表情で問い詰め、
息子と娘はその対応に追われる。
「だったら2人してそこまで取り乱す必要は無いだろうが。
じゃあ、その協力者とやらを一度連れて来いって」
武人のような雰囲気を持つ父親が正論でさらに追撃する。
「まあまあ、お父さん。それでどんな人なの?
写メくらいあるんでしょう?」
妻が夫をなだめ、その情報提供を促す。
「わ、私はその協力者に会った事はあるけど写真は無いかなー。
お兄ちゃんは?」
妹は誤魔化すために兄を差し出し、アイコンタクトで会話を始める。
「(お前!! あっさり
「(ていうかお兄ちゃんが最初に紹介するって話だったでしょ!
それに協力者として紹介するのなら、まだハードル低いんじゃないの?)」
目の前で奇妙な意思疎通をする兄妹に父親が両腕を組んで、
「一人が鬼だという事は『協力機関』から聞いている。
戦力としては申し分無いし、まずはソイツから見せてみろ」
その言葉に観念した琉絆空はスマホを取り出し、
「……この鬼だよ。戸籍上の名前は
まあ『協力機関』の担当者が適当につけてくれたんだけど」
戸籍は倉ぼっこ・
作られており、
また
鬼の古来の名称である
呼んでいた事から、それを組み合わせたという。
ただ舞桜の方は琉絆空が名付けており、それは言わずに黙って
スマホの写真を見せると、
そこには、和服に身を包んだ、赤い肌の二本の角を持ったナイスバディの
女性が、見合い写真のように大人しく写っていて……
両親はしばらくその画面に見入っていた。
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