第123話・過去の記録
「それで? やっぱり両親の説得は難しそう?」
「そうだな……
タイミングもそうだが、どう切り出したものか」
みんなでお昼を食べながら、雑談と情報共有を行う。
その中で
「お母さんの方から説得してみたら?
彼女を連れてくるっていう話なら、味方になってくれるんじゃ」
俺がそう提案してみると、
「それはちょっと甘い考えだよー、ミツ」
「女の同性チェックは、国家試験よりも厳しいですわよ」
理奈と裕子さんがすかさずツッコミを入れてくる。
ううむ、そういうものなのかと思っていると、
「まあそうよのう。
それに長男でもある事だし、見る目が厳しくなっても仕方ないか」
「あー……でも今はそういう時代じゃありませんよ?
えっと、
どちらが弥月一族を継ぐかとか、決まっているんでしょうか?」
鬼っ子の
そのまま兄妹に質問を向けると、
「戦力としては有力ですけど、そこまで一族内で上か下かは争って
いませんので」
「詩音さんの言う通り―――
長男としてのこだわりは、それほど無いと思います」
俺と裕子さんがその答えにうなずくと、
「じゃあ問題は、純粋に
どうかって事だべか」
「結婚相手としては、地位も器量も問題無しだと思います!」
加奈さんが宣言するように叫ぶ。
確かに彼女はこの辺り一帯の
普通の相手ならむしろ頭を下げて来てもらう女性だけど、
「問題はアタイが鬼、妖という事かぁ~……」
「そ、それは舞桜さんだけの責任じゃありません。
自分が妖を狩る一族だったばかりに」
主様がため息をつくと、隣りの彼氏がフォローに入る。
「ちなみに、弥月さんの一族は鬼と戦った事が?」
俺が一応その事について質問を投げてみると、
「無いとは断言出来ません。
ただ、鬼と戦うとなるとそれなりに被害が大きくなるはずですので、
あったとしても小競り合い、もしくは痛み分けで終わったのではないかと」
「まあ昔は昔で、こっちも何ていうか―――
人間離れした人もいたらしいので。
もし和解でもした記録があれば、今回のお
スムーズに進むかも知れません」
確かに、そんな過去があれば前例があると説得出来る。
「なるほど。では弥月さん一族の過去をまず調べた方が
良さそうですね。
出来る事なら、人外と組んだ……
理想を言えば妖と結ばれたケースがあれば、舞桜さんとの話は
大きく前進します!」
裕子さんが眼鏡をクイッ、と直しながら提案し、
「じゃあ、取り敢えずはその線でいきますか」
俺の言葉に人間・人外双方の全員がうなずき―――
方針が決定された。
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