第116話・銀の場合
一方その頃、一階に集まった(というより残された)男性陣は……
俺を始めとして銀、
会話をしていた。
「しかし
始めは妹の加奈さんが銀と付き合う事に反対されていましたけど、
ご家庭はやはり、そういった事に厳しいんでしょうか」
二十代半ばと思われる中肉中背の青年はため息をつき、
「まあ、まず両親の説得に骨が折れるでしょうね。
皮肉なのは、自分よりも加奈の方が問題という事です」
そこで俺と銀は首を傾げ、
「それは難易度的なものという事ですか?」
「はい。なんと言っても自分は鬼である
戦力UPと考えれば、それほど反対は無いものと。
後は自分が今まで女性関係の縁が薄かったというのもゴニョゴニョ」
最後の方は歯切れが悪かったが、確かに合理的に考えれば……
OKが出される可能性は高い。
妖を狩る一族としても最強戦力を敵に回すより、恋人というガッチリした
絆で結ばれるという事になれば、話は別だろう。
「こうなった以上自分も加奈と銀さんの仲には反対しませんが、
自分よりもハードルが高いのは否定しようもなく」
「確かにオラは
決して弱い存在では無いだべが、
男の自分から見てもイケメン褐色肌の青年が、うなずきながら語る。
鬼も河童もポピュラーな妖怪といえばそうだが、強弱として見た場合
軍配は鬼に上がるだろう。
しかも兄妹どちらの恋人も妖という事になれば―――
比較されてしまうのはどうしようもなく。
「以前、他の妖を狩る者たちが弥月一族の敵に回ると仰ってましたが、
そうなる恐れも?」
(■4章95話 兄妹喧嘩・05参照)
「表立って敵対はしないでしょうが、まあ攻撃材料にはなるでしょう。
下手をすれば鬼は認めるが河童は諦めろとか言い出しかねません。
『覚醒』したとはいえ、条件は舞桜さんも同じになってしまったから……
こうなるんだったら、最初に銀さんだけでも話を通しておいた方が
良かったかも」
琉絆空さんは両腕を組んで大きく息を吐く。
そうか、銀は覚醒してパワーアップしていたけど、鬼っ子も同様に
名付けで覚醒した以上、説得材料としては弱くなってしまった。
「とにかくこれは、女性陣が下りてきてから一緒に考えるとしましょう」
「そう……ですね」
「だべな」
こうして俺たちは、上の階での話し合いが一段落するのを待つ事にした。
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