第112話・女子会・理奈視点01


夕食後―――


僕はゆっちーと加奈ちゃん、しーちゃんの女性陣と共に、

二階の裕子さん部屋へ集まっていた。


ぬし様にはいろいろと持たせたけど……」


「コスプレ服だっけ。

 ただアレ、あまり小さいと目を付けられかねないから―――

 ちゃんとした女児服とか、ハロウィン用のものにしてる」


まず人間サイドの二人が準備してくれた品について語り、


「裕子様と加奈さんが厳選したという、動画も拝見しましたけど」


「体格差のある組み合わせとか……

 まあ結構えぐいのもあったよねー」


続いて僕と野狐やこの人外がそれに加わる。


ここで僕たちが話し合うのは結果が出るまで、どんな状況になっても

対応出来るよう、情報共有するためだ。


結局はなるようにしかならないんだろうけど―――

もしも主様が身を固めて落ち着いてくれれば、僕たちがパートナーを見つける

機会や手段も、今より広がるはず。


「考えられるパターンとしては、


 1:主様は名前を付けない、つまり成長しない方向でそのまま加奈さんの

 お兄さんとくっつく。


 2:主様が成長した上で、お兄さんとうまくいく。


 3:主様が成長した上で、お兄さんとの関係が悪化する。


 だいたいこの3つだと思うけど……」


「いくらあのバカ兄貴でも、3は無いと思いたいんだけどね。


 そもそも兄貴の理想の属性って、偉いけど外見が幼いっていう

 ギャップ萌えみたいなものだから―――

 最悪、兄貴より年下に見えればいいと思うし」


ゆっちーと加奈ちゃんが意見を出し、


「アタシもそこまで急な成長は無いと思うのですが……

 何せ主様ですからのう」


妖力ようりょくが全然違うからねー。

 いきなり『ボンキュッボン』になってもおかしくはないしー」


僕としーちゃんがそう言うと、人間サイドの2人が顔を見合わせ、


「そういえばお二人は、元の姿に戻る事は出来ないのですか?」


「部長から聞きましたけど、もともとは小学生か中学生くらいの

 姿をしていたとか」


今度は僕たちが顔を見合わせ、


「無理だと思います。

 そもそも、妖力が各段にパワーアップし過ぎて、制御してこの姿に

 なっているのですから」


「あるとすれば―――

 あの時と同じくらいに妖力が下がるか、それとも使い切るか」


するとゆっちーがアゴに人差し指をあてて、


「妖力を使い切るような事なんてあるんですか?」


「無くは無いかなー。

 そもそも、僕たちが妖として存在し続けられたのは、

 多分ミツのお爺ちゃんがいたからだと思うし。


 前みたいにほとんど人間に忘れさられたような状態になれば……」


僕の答えにゆっちーと加奈ちゃんが微妙な表情になる。

特にゆっちーは元の姿と事情を知っているだけ複雑だろう。


「ご、ごめんなさい」


彼女が申し訳なさそうに頭を下げ、僕が慌てて手を振ると、

話題を変えようとしたのかしーちゃんが口を開く。


「あ、でも主様に修行でしごかれていた時―――

 時々元の姿に戻った事がありましたよね?」


「あー、体力と精神がめちゃくちゃ削られた時だね……

 あれくらいやれば確かに元に戻るかも~……」


その時の事を思い出し、僕たちは苦笑する。


「じゃあ、主様がそれだけ疲れれば」


「難しいんじゃないですかね。だって『鬼』ですよ。

 弥月みつき一族でも、難易度トップクラスのあやかしですから」


そして議論はさらに深められていった―――


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