第46話・変化


「う~ん……」


「あ、もう起きました? 満浩みつひろさん」


俺の仕事部屋兼寝室で、彼女と一緒に目を覚ます。

もうすでに一線は越えている関係なので、それ自体は問題

無いのだが―――


なぜか最近裕子さんはコスプレというか、夜の勝負下着というか

衣装に凝っており……

おかげで彼女が来る日=翌日まで疲れが残る日々となってしまっていた。


「あのさ。そういえば俺、あいつらと裕子を関わらせちゃっているけど―――

 やっぱりその前に一度、裕子と一緒に考えた方が良かったかな」


良好な関係とはいえ、半ばなし崩しに関わらせてしまっていたので、

それとなく聞いてみると、


「?? そもそもあの3人は満浩さんの家の同居人でしたし……

 私に気を遣うような事は何も」


「まあ、そうっちゃそうかもしれないけど―――

 一応恋人になったのだし、そこは相談して決めるべきだったかな、

 と思ってさ」


すると裕子さんはくすっ、と笑って、


「そんな事で恋人だしって言われても。

 まあ、私もあの3人にはお世話になっていますし、本人たちも

 それでいいというのなら、いいと思いますよ」


「あ、うん。ごめん」


何か気恥しく思っていると、そこでドアの向こうから声がして、


「ミツー、もう起きてる?」


「ミツ様、お腹すきましたぁ……」


「まだダウンしてるべか?」


人外3人組のご飯の催促さいそくだ。俺は彼女と目を合わせた後、互いに苦笑し―――

そこでベッドから降りる。


「へいへい、今行きますよ腹ぺこども」


「あ、私もお手伝いします」


そしてドアを開けると、目の前の光景に俺と裕子さんは硬直してしまった。


「へ?」


「えっ?」


そこにいたのは、和風の着物に身を包んだ高校生くらいの黒髪ロングストレートの

少女と、


また和風の衣装にシルバーの長髪をなびかせた切れ目の、十代後半くらいの女性、


さらに短髪の黒髪に褐色肌の、二十歳はたちくらいの青年がいて……


「もう遅いよミツー!」


「お2人とも、少しハッスルし過ぎですよぅ」


「裕子ちゃんもちょっと手加減してやって欲しいだべ」


そこで俺と彼女は息ぴったりにスマホを取り出し、鏡モードに切り替えて

彼らに渡す。


「ん? どしたの?」


「あー、確かコレ自分で見られるように……って、え?」


「な、なんだべ? ここに写っているのは―――」


戸惑う彼らに俺は事実を告げる。


「いや、間違いなくお前らだよ」


そして室内に、人外3人組の叫びが響き渡った。


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