第45話・女子会・武田視点04


「ふーん、それじゃあちゃんとボコったんだ」


「ええ、道場にちょっと動いてもらいまして。

 さらにそこの格闘技ジムの連中、腹いせにあのクソ男を拉致したみたいです。


 まあこれで、どちらも少しは大人しくなるでしょう」


倉ぼっこ=理奈りなちゃんの問いに私は姿勢を崩しながら答える。


ここは満浩みつひろさんの家の二階で、私に割り当てられた部屋。

そこで人外の3人と一緒に情報共有をしていた。


内容は、例の格闘技ジムの事で―――

私は参加出来なかったものの、道場の人たちが交流試合を申し込み、


ほどよく痛めつけた後、地元の警察とも仲が良い事を匂わせ……

私の目的である報復は一応行われた。


そうでなくても昔気質むかしかたぎの人たちが多い道場だ。

外道げどうは許さん』と息巻いていたようで、外傷は少なくして

徹底的に関節技や絞め技で『痛めつける』方法を取ったらしい。


「ミツ様は消極的―――もとい、優しい方ですからね。

 その場でやり返す事はするけど、何かもどかしいです」


「裕子ちゃんで何とかバランス取れている気がするべ。これからも頼むっぺよ」


野狐やこ詩音しおんちゃんと、川童かわこぎんさんが

私に期待するように話す。


確かに満浩さんは専守防衛みたいなところがあり、私としては彼らと思考が

似通っているので、こういう話は3人と一緒の方がスムーズだ。


「それはそうと、鬼さんも来たんでしょう?

 話を聞く限り友好的な感じではありますけど……」


そこで理奈ちゃんと詩音ちゃんが姿勢を正し、


「ミツの話だと、よほどの事が無い限り来ないんじゃないかって」


「実際、野狐アタシたちの前に姿を現したのも何十年ぶりかの事で―――」


銀さんもそれに続き、


「だからぬし様についてはそれほど気にしてないっぺ。

 オラたちとしてもホッとしているっぺよ」


聞くと、妖怪たちの中でもかなりの実力者という話だし、彼らとしても

恐れ多い存在なのだろう。

そういう方と四六時中一緒にいるのは、精神衛生上よくはないと私も思う。


「それでそれで? 裕子ちゃん。例の物はどうなっているの?」


「ぜひともアタシたちにもそれを見せて頂きたく……

 あ、その前に銀さんはミツ様のところへ。

 ここから先は男子禁制だからっ♪」


「いや、詩音だって男―――わ、わかったっぺよ。すぐ出ていくべ」


川童が部屋から追い出されるようにして出て行き、ここは私と

倉ぼっこ、野狐の人外混合の女性陣(一人男の娘)だけとなる。


そこで私は荷物の中からある物を取り出し、


「こ、こういうので攻めてみてはと」


「おおぉ……きわどいねぇ。黒が基調なのも大人っぽくてまた良し!」


「ずいぶんと薄く細いですね。あ、アタシも出来れば……!」


「う~ん、理奈ちゃんと詩音ちゃんだとちょっと身長が―――

 それにその年齢だと入手するのも、いろいろと危ない気が」


そこで私は満浩さんに迫るための下着や衣装の談義に2人と話し込み、

万全の体制で就寝時間を待つ事になった。


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