第24話 センタク(宣託・選択)

 わたしの誕生日が、5日後に迫っている。また一つ年を重ねてしまう。相変わらず椿について調べていたら、思いがけず、あの国での自分の誕生花を知った。わたしは神など信じちゃいないが、これは、宣託だ。わたしは……腹を括らねばなるまい。


 アレクセイは、あの日から思い詰めた顔をしている。彼は彼で悩んでいるのだろう。彼の意思を尊重するのがわたしにできる唯一のことだ。が、彼の出す答えも気になって仕方がない。

 ぎこちないながらも、コミュニケーションは欠かさない。彼もそれは同じで、また暖炉にあたりながら、取り留めのない話をした。これがしたい、ここに行きたい、欲は尽きない。

「けれど、結局君と一緒にいるのが、私にとっては一番の関心事なのさ」

 彼はそう、しみじみと言った。たとえば二人静かに、ここで薔薇を吸って生きられたなら。誰にも迷惑をかけず……それ以上に望むことはない。けれど、そう甘くもないだろう。外部に知られたらどうなるのか……それも頭を悩ませる。結局のところ、結論は出ない。

 それでも、お互いを手放すのは惜しい。それだけが、わたしたちをつなぐ絆だった。

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