フランス語のレポート
「おわったわ。完成よ!」
時刻は19時。下書きを元にしては時間がかかった。
「見直しをしてからでも結構時間をとられたわね」
明日のカバンに入れて終了だ。
「どうしてるかなぁ。サムとキャサリン」
彼らに会いたくなった。
部屋に置いてある箱を開くとサンタさんからの手紙がある。
「頑張れているよね。もう少し頑張る力をください」
クリスチャンではないが、キリスト教徒のように十字を切る。
「親にばれませんように。頑張れますように」
日本大好きな母とはまた激突するに決まっているのだから。
翌朝、いつもよりも早く起きた。
これからまたバイト先を見つけなくてはならない。
(気に入っていたんだが、3か月は長かったからな)
またバイト先の候補を探さなければならない。
「母さんはまだ起きていないのか」
好都合だった。
あれだけ結婚について必死だったから
今日も何かを言われるんだろう。
「朝活しよ!」
軽くウォーキングしながらバイト募集のチラシを探す。
「あ、そろそろ時間だ」
飲食店は何かと求人を出している。
「ここかな」
佳織の条件はワンオペにならずに、試験前は休める場所。
そして制服が可愛くて、モチベーションアップが図れる場所。
「やっぱり前のバイト先の系列になるのよね」
めぼしい求人チラシを撮影して、学校の時間になる。
月曜日の学校の朝は閑散としていた。
「今日は授業少ないのかしら?」
閑散としているが、レポート提出の窓口はもうやっていた。
「ここに入れればいいのね」
ポスッ。
フランス語のレポートは受理された。
「ふぅ。重要任務クリアね」
今日の授業は午後からだ。
もう少しバイト先の候補を見て回ったのだった。
その週の水曜日、
フランスの講師から呼び出しがあった。
(英語を主軸の学校でフランス語を要求するとは)
英語はあまり得意ではないのかと緊張する。
ブロンドの髪をなびかせて、ミニスカートの講師。
英語で話しかけてくる講師の方。
「あなた本当にサンタクロースの機関に入りたいと思っているの?」
「はい」
「なら、私に任せて。サンタクロースをサポートする職場の人がいるのよ」
「ありがとうございます。頼りにしています」
伝手が増えていくのは良いことだ。
佳織は笑顔で退出した。
木曜日にはフランスの履修可能者リストがはりだされ、
PDF化され、それぞれのパソコンで見られるようになった。
「よし。合格しているわ。良かった」
だが、人数が多いので、
何かと抽選やこれまでの方式とは違ってくるのかもしれない。
「頑張って1番を目指すわ」
スパルタだった。
単語も3000字覚え、文法も本を2冊どんと出してきた。
どSな先生だ。日本のカリュキュラムを理解していなさそうな量だ。
「こんなの。完璧にできる生徒がどれだけいるのよ」
「やっほー。苦労しているみたいね」
律子が話しかけてくる。
「あなたはルンルンね」
ドイツ語の教科書を抱えている。
他の授業はオリエンテーションを済ませ、一足早く授業に入ったようだ。
他の講座は先に授業していることを考えても今更移りたくはないのである。
律子は授業帰りだろう。
「ええ。生徒が少なくって、いい感じに先生もこの学校の様式を理解していてね。
文法をやって、あとは映画を見て学びましょうって」
「さすが」
「いいでしょ」
「いいなぁ。ちょっと激しい感じなのよね」
「でしょうね。彼女はフランス語と日本の第二言語にするために頑張っているようだから」
「んー。英語にかわるとするのなら中国語だろうし、それ以外ならドイツ語でしょうねぇ」
きっと従姉妹から聞いていたのだろう。
「ねぇ。あの講師はまだそれを理解していないから厳しいなって思っていたの。じゃ、頑張って」
今履修しているもので、一番宿題が多いのがフランス語だ。
「よし、頑張るわ」
この頑張りが将来使われるものだと信じて課題に取りかかる。
辞書も参考書もどっさりと準備してまた机に向かったのだった。
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