10代の努力
何度も家事を手伝い、
親を説得して受験料と交通費を
負担してもらえることになった。
たくさん母親と話し合い、
トイックを受験させてもらえた。
母親は女の子に「そんな資格必要ない」と言っていたが、
これからの時代資格は身を助けてくれるかもしれない。
試験日当日、解除の中に入ると圧倒された。
会場内の大人たちが多くいる姿に。
「大丈夫。乗り切れる」
少し動揺するけれど、自分の力を信じて、受験番号の示す場所に座った。
窓際の席だった。
筆記試験は楽勝だと思う。
どのくらいの点数が出てくるのか楽しみである。
期末試験も同時期にやってくるので気を抜けない。
「大丈夫、乗り切って見せる」
5教科一気にテストとという鬼畜な日程をくぐりぬけ、ひと段落ついた。
「これで親も納得のいく成績を出せるといいのだけれど。どうかな」
結果としては納得のいく点数だった。
成績には85点以上が並び、学年2位をとるほどだった。
「1位じゃないのか」
私は不満である。
2位でも親からきつく言われることはない。
むしろあの日程ではよく健闘したほうだと思う。
並んだすべての評価表をみて、母親は褒めてくれた。
「すごいじゃない。
2 位なんて。
そろそろ別の方の試験の結果も出てくるころよ」
母親が受験票を示して見せる。
「出ているかな」
はがきには発表日が出ている。
結果発表は明日だった。
☆☆☆
サイトを使って受験番号を入力すると点数が出てきた。
「ふう」
心底、安堵した。
厳しい点数だったら親を説得したり、
家事を沢山したりといった苦労が、
水の泡になるところだった。
調べてみるとそれほどひどい点数じゃない。
中学1年生にしてみれば上出来の点数だ。
「まだ、文法だって完璧じゃないわけだしね」
いくら参考書を買って勉強していても、
わからない問題と習っていない問題はあったのだ。
あんなに大人たちも受ける試験で
分からないものが多数ならどうしようと思ったが、
それほどでもなかったらしい。
高校になったらもう1回受けようと思う。
「これで、満足した?」
「するわけないじゃない。勉強って面白いよね」
「はぁ……」
母親はあきれ顔だ。
この手の話は父親と共有した方が早い。
楽しいという感情が母にはわからないらしかった。
それに比べて、
父親は理系の勉強を楽しいといって勉学に励んだ時期があるらしい。
自宅でお酒を一本あおっている時に、
過去の話を聞くとすらすらと教えてもらえた。
(これは、楽しいな)
勉学の先輩に聞いてみることも必要だなと思える。
高校生になったらバイトして
自分のお金で世界を見てみたい。
そうは思うが、今は認められる成績を出さないとならない。
苦手な体育も、情報も社会の授業もきちんと受ける。
今度は学年1位になるために。
テストの点だけではなく、内申点にも影響が出ないように。
きちんと発言もするし、ノートもしっかりと取る。
母親は学校の成績を上げる努力だけでは足りないらしい。
「これで終わりではないでしょ。
きちんと掃除の仕方も覚えなさい」
「はぁい」
母親は御小遣いなしでも家事を手伝えを言ってくる。
「じゃあ水曜日にはお風呂掃除と部屋の掃除するよ」
「ありがとう、頼むわね」
母親も仕事をしている。子供が手を離れたからだとか。
親も色々と大変なのだなと思いながら、
自分のやることと勉学の時間を綿密に立てる。
家事に関する作業はなるべく時間をかけないようにしないと
勉学に支障が出てくるかもしれない。
(バイトするようになったら、毎日こういうのやるんだろうな)
心の準備をしていくにはちょうどいい。
母親の心象を悪くしないのも今やれることだ。
家事手伝いには不満もあるが、
誰かがやらないと汚くなる一方なのだ。
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