第17話 絶景

 湖に着く前に何度かモンスターと出会い、撃破した。ドロップは自動で収納指輪へ収納された。


 湖に着くと収納指輪から釣り道具一式(ルアー付き)を出して釣りを始める。


 大物釣り用の釣り道具一式だから、小物は掛からない。


 暫くルアーを投げてはリールで引き戻しながら竿を動かして緩急付けて大物を狙ったが、釣れない。


 もう止めようかと思った時に、当たりが来た!


 両手を持って行かれそうになる力にピンと張った釣り糸、それらを制御して何とか糸が切れるのを防ぐ。


 そうして魚と格闘して体感時間だと30分以上経った時に、魚影が湖の底から姿を現した。


 慌てて雷魔法を使って魚にぶち当て、痺れさす。


 その後、どう見ても大物の本マグロの様なので収納指輪から槍を出してエラに刺して仕留める。


 何とか魚影を陸に引き上げるとやっぱり巨大な本マグロだった。


 ダンジョンで捕れる本マグロは超高級品で通っている。


 時間停止で収納指輪に入れて、解体をすると各部位の身や内臓に血や頭に骨と言った部分に分かれた。


 胃袋と心臓以外の内臓と血や骨はここで捨てていく事にした。


 さて、釣りは終わったし次は何会いようかと思ったら、鬼のモンスターが出てきたので一刀のもとに斬り捨てた。


 ドロップはいつもの様に取得して、同接を見るが見事に0だった。


 挨拶も無かったから分かっていた事だけど、凹む。


 凹んで気が付いたが、ここってもう深層だったなと思い人界の配信を終わらせた。


 代わりに神界の配信に切り替わった。


 同接は150万柱いた。


「神様達、もしかして暇なの?」


 ”それが同接見て言う初めての言葉か!”

 ”まったく、普通ならテレポートした瞬間に神界に切り替えれば良かった物を!”

 ”ダンジョンで釣りを満喫していたのには笑うw”

 ”巨大な本マグロ、良いなぁ~。食わせて”

 ”いつもと違ってのんびり配信だけど、これはこれでリラックス出来て良き”

 ”本マグロ丼食べたい!”


「ダンジョン本マグロは俺のだから諦めて下さい」


 ”独り占め反対!”

 ”味見させて”

 ”大トロ一切れでも良いから”


「駄目です。ダンジョン本マグロは俺のです」


 ”クッ! いつになく意志が強い”

 ”食の事になると意思が硬いな”

 ”さすがHENTAIの国に住んでるだけの事はある”


「誰がHENTAIじゃ!」


 そうして神様方とじゃれ合いながら通路を進んでいった。


 ◇◆◇◆


 92階まで攻略したら、93階のジャングルで壁の切れ目が見つかった。

 

 これは非常に珍しい事で、通常は切れ目なんて存在しない。


 だから、切れ目に体を入れて奥に行く事にした。


 切れ目に入ったら最初は普通の体勢で歩けたが、段々と幅が狭くなって横向きじゃ無いと先に進めなくなった。


 横向きになってさらに奥に進んだね行くと、今度は上の方に腹這いになったら通れる穴があった。


 その穴を通る為に背中と手と足を使って上まで何とか昇り穴の中に入り上向の道をさらに奥に進んでいくと、穴が段々と大きくなり普通に立てる様になった。


 そして、さらに登り道を登って行くと大きな切れ目の終点が出てきた。


 そこに到達して周りを見ると、雄大な景色が広がっていた。


 ジャングルを一望できる高さとモンスター達の普段の生活を上から見る事が出来て、その生命溢れる光景に声も出なかった。


 収納指輪から一眼レフカメラを取り出して、何枚も写真を撮った。


 その後は高性能ビデオカメラで三脚で固定して光景を写して行った。


 昼食にして食べ終えると、コーヒーを一杯飲んで最後にこの光景をもう一度見て元きた道を戻って行った。


 "凄い光景だったな"

 "ああ! こんな光景は滅多に見れないぜ"

 "モンスターって湧いて来る物だとばかり思っていたけど、親子がいたりして湧いてない個体がいる事と生命活動している個体もいると知って驚いた"

 "探索者と戦っている個体もいたしな"

 "生命活動している個体がいるのは、あまり知られていないけれど保護ダンジョンだから生命活動が出来るんだよ"

 "保護ダンジョンしか見れない光景って事ね"

 "そうそう"

 "モンスター同士の縄張り争いで戦っているのは驚いたな"

 "まあな"


 神様達も雄大な光景に言葉を失っていたのだろうか?

 帰る道すがらコメントが飛んできた。


 ◇◆◇◆


 最終階の守護者の間まできた。


 オーブに登録もしてあるし忘れ物はない。


 守護者の間の扉を開けて守護者の間に入る。


 守護者は守護獣の雷獣だった。


 体から雷を纏わせてあちこちに落雷を落としている。


 ただ、動きは遅い。これなら首を落とせばすぐに終わりそうだった。


 刀に魔力を纏わせて魔力で作った刀身を伸ばしてのっそりと此方に動き出そうとした雷獣の眉間に刀身を差し込むと、そてだけで守護獣との戦い(?)は終わった。


 守護獣は宝箱に姿を変えるとドロップを残して消えていった。


 ドロップは自動で収納されたが、宝箱はそうは行かない。


 宝箱に罠がないか調べて無い様子なので後ろから宝箱を開ける。


 宝箱の中身はゴーグルだった。

 

 何のゴーグルかと思い触ってみれば、触る前からどんな品物か詳細にわかるゴーグルだった。

 

 これは呪いがかかった品物でも触らずにすむので呪いにかかる事はないだろう。


 強制ギフトも開ける前に呪いの品かどうか分かるので大変便利だ!


 収納指輪に入れておこう。


 帰還ゲートで地上に戻った。


―――――――――――――――――――――――――――――


 絶景って良いですよね。でも、山の絶景では感動した事ないんです。

 何と言うか、しんどくてそれどころじゃないと言うか。


 観光地の多岐などの絶景は素直に感動する事が出来るのですが……、

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