第5話 探索者ギルド

 変貌の仮面を付けて地上に戻ったら、多くの探索者が帰還している最中にかち合ったみたいだ。


 警官がダンジョン踏破者はいませんかと大声で呼びかけている。


 神様から貰った説明書を読んで見ると、1個で日産2億バレルの産出量がある事が分かった。


 これには俺も吃驚した。


 石油の輪っかの使い方を知ったので、警官に向かって行く。


「俺が踏破者ですよ。何か用ですか?」


「あなたが踏破者ですか? もしよろしければ踏破した報酬の願い事に何を望んだか教えて貰っても良いですか?」


「まぁ、少しだけなら。俺が望んだのは石油の出る輪っかで大きさは可変で日産2億バレルまでの石油が出ます。産出量は調整出来ます」


「それは凄い! これで日本も資源大国だ!」


「あのー、日本で使用するとは一言も言ってないのですが?」


「え? それでは何処で使用するつもりですか?」


「条件の良い国ですね」


「あなた、日本人でしょう? 日本の為になろうとは思わないのですか!」


「ビジネスの世界ですよ。ここは。踏破者の願いを叶えたのをどう使おうと踏破者の勝手です。意思をねじ曲げて使用させようとするなら天罰が下りますよ?」


「意思をねじ曲げるつもりはありませんでした。申し訳ありません。ですが、1人の日本人として日本で使用して欲しいとは思います」


「1つの意見として聞いておきますよ」


「政府から条件交渉等があるかも知れないので探索者カードを見せて頂けますか?」


 そう言われて俺は探索者カードを見せた。相手は害意が無いのかランクまで見えた様だ。


「Sランク! 凄いですね。 Sランクの人に直接会うのは初めてですよ」


 そう言って名前と探索者登録番号をメモした。


 住所までは信用していないので見られなかったらしい。


 そうして探索者カードを返して貰い、その場を去った。


 ただ、政府は与太話としてまともに相手にしなかった。


 ◇◆◇◆


 探索者ギルドに行き、変貌の仮面の変装を解くと買い取りをお願いする。


 販売は宝箱から出たのを除いて通常のモンスタードロップ品の他にダンジョンエラーが出た事。収納の指輪に全て入っている事と収納指輪で解体出来たのでした事。最後にダンジョンエラーを起こしたのが古竜だったことを伝えた。


 探索者ギルドが大騒ぎになった。


 取っておきたい物はあるかと聞かれたので、肉と牙と爪と皮で俺の防具一式が2個作れるくらいを残して欲しいのと、皮を鞣して欲しい事を伝えた。


 そうすると皮は防具に最適な部分を切り出して鞣してくれるという事で値段は売却額の一部から貰うとの事だった。


 最初に血を売りたいと言ったら、容器に入っているのかと聞かれたので入っていないと答えると水を入れる容器を取り出した。20L入るポリ容器だった。

 

 それに丁度20L入れたら、後どれくらい残ってるか聞かれたのでトン単位で残っていると言ったら、収納指輪は時間停止機能付きかと聞かれた。


 そうだよと答えると、古竜の素材はオークションで売るので血は入れる容器も無いし、このポリタンクの中身もml単位に分けて出品するので血を保存しておいて欲しいと言われた。


 了解するしか無いので了解しておいた。


 それから時々、探索者ギルドに来ては血を売る俺の姿があった。


 モンスターのドロップ品は税引きで962億6568万5980円になった。


 古竜の金額はオークション後になるそうだ。


 多分、税引き後でも数千億か兆を超えるだろうと言われた。


 売った金額を探索者ギルドの銀行部に入金して貰って国家予算並みの米ドルを見て職員が腰を抜かしていた。


 ちなみに探索者ギルドは神様が運営していて、職員は人間だが神様の守護が付いていて暴力や脅迫にさらされない様になっている。


 勿論、悪い事も出来ない様になっている。


 業務は探索者の管理、素材や物品の買い取りや販売、武器や防具の作成、銀行業務にクレジットカード会社やその他と色々な事をしている。


 もちろん、税金は払っているが探索者の税金はどんなに稼いでも2割と優遇されている。


 ふと思い出したので。ダンジョン踏破者の願い事で貰った石油が出る指輪の事で色々な国の政府か誰かから接触があるかも知れない事を伝えた。


 それで、話が来たら交渉人をお願いしたい旨を申し出て受理された。


 話が来た時の交渉料は1億円だったが了解した。


 もちろん、実際に来て交渉人が仕事をする事になったら領収書をもらう事も忘れてはいない。


 その時は探索者ギルドの俺の担当税理士に領収書を渡して俺はそのコピーを貰わないと。


 探索者ギルドから変貌の仮面で前と同じ変装をして出る。


 その後は付けられていないか気を付けながら家に帰った。


 半年前は1部屋の安アパートだったが、今は探索者ギルドから斡旋され購入した6LDKのタワーマンションだ。


 入り口にはコンサルジュ付きだ。


 ◇◆◇◆


 部屋に帰ると、収納指輪を持っていなかったから部屋に置いてあるダンジョンの戦利品を片っ端から収納指輪に入れていく。


 そうすると、途端に部屋はがら~んとなりモデルルームの様な感じになった。


 とりあえず探索者ギルド謹製のあらゆる神様を祭った神棚にお供えをして無事に帰って来られた事を感謝した。


 さて、家に帰ってきて暫くした日、俺は次に攻略出来る混沌期のダンジョンを探していた。


 異能で調べてみると6日後に北海道で大きな反応があり、近場だと自転車で行ける範囲に3時間後に中規模の混沌期のダンジョンが山林の中に出来る様だ。


 早速自転車で中規模の混沌期のダンジョンが出現する場所に行ってみる。


 何とか時間内にダンジョンが発生する前に着けた。これも高機能マップのお陰だ。


 

―――――――――――――――――――――――――――――

 962億6568万5980円って道路に出来て他の探索者も入ってきていたので、攻略急いでたからモンスターや宝箱を最小限にしか取っていなかったのでこの値段です。


 人気の無い所で探索者が他に入っていなかったら倍はいってたでしょう。


 うらやましい話です。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る