第3話 視聴者プレゼント

「同接150万柱? 本当かこれ。それにしてはいつもコメントが少ないな」


 ”コメントはあきらめろん”

 ”そうそう、神は基本的にコミュ障だからな”

 ”こうやってコメント書いてるだけで手が震えてくるぜ!”


「すまん。そんなに神様がコミュ障とは思わなかった」


 ”ええんやで、基本こちら側のはなしやからな”

 ”そうそう”

 ”それで今日は攻略するの?”


「はい。今日は攻略可能ダンジョンに一番乗り出来たので攻略を目指します!」


 ”て、ダンジョン攻略してこれで6個目だろ”

 ”しかも、その内の願いの1つが攻略出来るダンジョンの場所をダンジョン発生前にいつ発生するのか分かる能力が欲しいだったよな”

 ”これぞ、自作自演”


「そう言われても場所や時間が分かっても攻略者が先には言ってる場合もあるんですよ。これ、本当に願い事が叶っているんですかね?」


 ”神だけの配信になったら基本丁寧な敬語になるのは何で?”


「神様だからなるべく刺激しない様にしてるんですよ。俺は基本的に臆病者なので! 痛い目にもあいましたし」


 ”痛い目ってどんな事?”

 ”ああ! 柔軟金属体じゅうなんきんぞくたいの事だろ”

 ”柔軟金属体じゅうなんきんぞくたいって使いかって良いみたいだけど何で痛い目に遭ったの?”

 ”あれって最初は呪いのギフトだったんだよな”

 ”マジ?”

 ”マジマジ”


「コメントで言われていますが痛い目に遭ったのは今は柔軟金属体じゅうなんきんぞくたいですが、送られたギフトの時は呪いのギフトとかだったんですよね。

 体がチタン合金並みになる代わりに関節や動きも非常に遅くなるギフトだったんですよ。

 確か名前は”呪いの金剛体”だったかな? それであまりにも動きが遅くて堅くて腹減って死にそうになった所を襲ってきていたスライムを食べたら10匹程で少し体が軽くなったんですよ。

 これは! と思ってスライムを食べて食べて数え切れなぐらい食べたら酸無効とゴムの様な柔軟性や特性を獲得していたんですよね。

 そういや、金属質のスライムもいたから金属体になったのかも?」


 ”それで、一挙にこいつに神が注目し始めたってのが最初の出来事だったな”

 ”普通は腹減ってもスライム食べようって発想が無いもんな”

 ”ほへー、そんな事があったんだ”

 ”呪いで体が鋼鉄以上になってたのでスライムを食べる事が出来たってのもあるけどな”


「それでは、探索に集中したいと思います」


 そうして俺は探索に集中した。


 ◇◆◇◆


 探索をしていると繁みに宝箱が隠れていた。


 罠が無いか俺では分からないので、背後から宝箱を蹴ると、何事も無かったので背後から開ける。


 幸いにして罠は無かった様で中にはスキルが入っていた。


 触ってみるとマップ高機能版と出たので使用してみる。


「宝箱の中身はマップ高機能版でした。マップを持っていなかったので嬉しいですね!」


 ”マップって探索者が最初に手に入れるギフトじゃ無かったっけ?”

 ”言ってやるな。その時には呪いの金剛体で取ろうとしたら横から他の探索者にかっさわれたんだ”

 ”マジかよ。許せないな”

 ”ちなみにそいつは粛正済みだ”


 使用したマップを見ると、階層ごとに他の人やモンスターに階段や開けられてない宝箱に宝箱に仕掛けられている罠や隠し通路や隠し部屋まで分かる様に出来ていた。


 これはとても良い物を手に入れた!


 マップ高機能版が入っていた宝箱は木の宝箱で木しか無いのでそのまま放っておく事にした。


 この階層にはまだ人が来ていないので、他の宝箱の所に進路を変更した。


 そうして暫く進んでいくと、巨大なドラゴンが出た!


 ”またドラゴンか”

 ”深層も下層に入るとドラゴンが多いよね”

 ”どうせいつもの一撃なんだろう”

 ”そうだな”

 ”あれ? でもこいつ古竜だよ?”

 ”変わらないって”


 視聴者の期待に応えてドラゴンの眉間に刀の先から出した魔力の刃を差して倒す。


 すると、ドラゴンはドロップせずにしかも消えずに死んだままこの場に残った。


 ”ダンジョンエラーキター”

 ”古竜をダンジョンエラーって運良いな”

 ”普通ならこんなダンジョンエラーを持って帰れないけど、こいつ収納の指輪を手に入れたからな”

 ”ドラゴンの肉って美味しいのですよね。うらやましい”

 ”ドラゴンは血の一滴まで余す事無く何らかの材料になったりするからな”


「うわー! ダンジョンエラーですか! これはテンション上がりますね。しかも古竜とは運が良いですね! 収納の指輪に入れて丸ごと持ち帰りますね」


 そう言って俺は収納の指輪に古竜を入れた。


 そう言えば解体も出来るんだったな、この収納指輪。


 試しに古竜を解体してみた。すると、部位毎に解体されて各場所に配置された。もっと細かく出来るかなと思い、10kgの肉を1kgずつに解体して貰うと出来た。

 

 この1kgは神様視聴者プレゼントにしよう。


「神様方、今、収納の指輪に入ました。そうするとこの指輪は解体の機能も付いてたので解体したら10kgの肉の塊がありました。

 それを1kgに解体出来るか試した所出来ました。この10枚を神様方にお供え致します。

 お供えした時に早い者勝ちで勝ち取った神様の物ですのでよろしくお願いします。

 一度肉を獲得した神様には次の肉からは遠慮して下さる様お願いします」


 そう言って、俺は1枚ずつ時期を見て奉納して行った。


 コメント欄は阿鼻狂乱でとても読み切れなかった。


 

―――――――――――――――――――――――――――――


>”そうそう、神は基本的にコミュ障だからな”

 基本的に作者もコミュ障です!


 神様に仲間意識を感じますね。


 それにしても肉=ステーキ! 作者はここ数年、食べた事が無いですよ!

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